2022-05-29 政治・国際

シェアリング・プラットフォームは労働者搾取となり 「協同組合経済」は市場の課題の解決策となった

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注目ポイント

「労働者協同組合」というと、いかにも共産主義時代のもののように聞こえるが、資本主義というゲームのルールに沿ったものである。誰もが自分の労働の所有者と受益者であり、残りの価値を搾取されず、「協同組合」のシステムを通じて、さらに民主的な意思決定のメカニズムを巧みに市場経済の中で応用することができる。

シェアリング・エコノミーは一時、人気のあるビジネスイノベーションモデルになったが、近年、その欠点とネックも目立ってきた。期待したほど利益がないというわけではなく、逆にインターネット経済の急速な発展につれて、ネットワークを利用する人数が増えると平均コストが下がり、独占・利潤追求につながるため、利益も倍増している。

筆者の考えでは、シェアリングエコノミーは本来の市場を破壊・代替するものではなく、市場の失敗を補填する仕組みとして利用されるべきであり、少なくともその収益モデルにおいて「共有」「共通」の価値をより明確にするべきだと考えている。



私有財産を公共の利益のために活用する「協同組合」の概念

本題に戻ろう。シェアリングの欠点が現れ始めた今、資本と生産手段の少数者による独占を避けつつ、多数のニーズを満たす他の方法はないのだろうか。 「協同組合」もそのような選択肢のひとつになるかもしれない。

いわゆる協同組合は、実はとっくに人類社会に存在しており、アジアから欧米、さらにアフリカまで、似たような組織が現れ、多くの組織が今も継続的に機能している。

協同組合の基本的な概念は、すべての関連企業の形成を通じて、経済的、社会的、文化的なニーズと願望を満たす人々の自発的な連合体であるということである。彼らは企業のニーズに公平に貢献し、リスクと利益を公平に共有し、企業の民主的経営に積極的に参加する(国際労働機関、2001年)。その意味するところは、「通過儀礼」、あるいは「社会事業」、「共通善」のようなものがわずかに感じられる。



台湾製糖がコーヒーを販売し、その利益で学校建設のチャリティーを実施

台湾製糖とホンジュラスの社会的企業IMPCTが建設した学校は、ショベルカーが入るのが難しく、学校のレンガと瓦は手作業で建設された。注目すべきは「公益」ではなく、「共通善」であることだ。しかし、従来のビジネスやシェアリングエコノミーとは異なり、協同組合は関係者全員が株主であると同時に利用者でもあるように設計されていることだ。

もちろん、明確な役割分担とプロフェッショナルマネージャーの導入もあり、労働が生み出した成果は、すべての人が努力の割合で均等に分けることができる。もしくは、より社会的に公正なシステムにしたいのであれば、分配を公平にするだけでなく(支給額に比例)、より不利なグループにも配慮する(支給額に比例しない)ようにするとよいだろう。そうすれば、失業手当や長期介護手当などの社会福祉の機能さえも、ある程度のレベルで満足できる。

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