注目ポイント
2021年の世界の災害被害額は1700億米ドルを超え、2020年と比較して200億米ドル(約13%)増加する見込みだ。 この増加傾向は、アラブ地域やアジア太平洋地域で深刻な食糧問題を引き起こしている気候変動の深刻さを反映したものだといえる。
2021年の異常気象で国際食料価格は10年ぶりの高値
異常気象の頻発と新型コロナウイルスの影響と相まって、国際食料価格は10年ぶりの高水準に達すると予想されている。 国連食糧農業機関(FAO)は、アジア太平洋地域の飢餓人口は2020年に1億5000万人増加し、発達に遅れのある5歳未満の子どもの割合も非常に高くなっていると伝えている。
異常気象による被害は2021年までに1700億米ドルに達する見込み
異常気象は無視できない問題であると明言する英国の非政治組織「クリスチャン・エイド」が、12月27日に発表した報告書によると、2021年の気候災害トップ10の経済損失は、1700億米ドルにのぼるとされている。
それによると、最も被害が大きいのは、2021年8月から9月にかけて米国で発生したハリケーン「アイダ」で650億米ドル、次いで7月の欧州の洪水で430億米ドル、2月のテキサスのブリザードで230億米ドル、そして中国河南省の洪水で176億米ドルとなっている。
以下、カナダのブリティッシュ・コロンビア州の洪水75億ドル、フランスの寒波56億ドル、インドの熱帯低気圧ヤシ30億ドル、オーストラリアの洪水21億ドル、フィリピンの花火台風20億ドル、インドの熱帯低気圧タウト15億ドルと続いている。
クリスチャン・エイドは、気候変動の深刻さを反映して、2021年の災害被害が2020年よりも200億米ドル増加し、13%も増加したという事実を強調した。 上位10位までの災害で、少なくとも1,075人が死亡し、130万人が避難しているという。
中国河南省の鄭州市では、1時間当たりの降水量が201.9mmとなり、中国本土の記録を更新した。写真は、海の中に没した鄭州の街。(中国新聞社提供: 中央通信社 2021年7月21日)
また、保険会社エーオンのデータによると、自然災害の被害額が1000億米ドルを超えたのは2021年で史上6回目だそう。しかもその6件すべてが2011年以降に発生しており、2016年以降に自然災害が多発していることも注目される点だ。
悪天候に加え、物流の混乱や地政学的な対立の影響により、農作物の食料価格は数年来の高値となっている。 シカゴ商品取引所によると、トウモロコシ、小麦、大豆はそれぞれ20%以上急騰している。
5歳以下の子どもたちがすでに成長阻害受ける
Teucrium Trading LLCのシニアポートフォリオストラテジスト、Jake Hanley氏はWall Street Journalに対し、ロシアは世界最大の小麦輸出国の一つであり、ロシアとウクライナの紛争の高まりが小麦価格に影響を与え、供給市場に圧力をかけていると述べている。 2020年に比べて1000万人以上、飢餓人口が増加している。