2022-05-27 世界

今週もまた…米国で繰り返される銃乱射事件 歴代ワースト10でテキサス州が半数占める訳

© Photo Credit: AP / 達志影像

注目ポイント

米国で今週、またもや銃による悲劇が繰り返された。南部テキサス州ユバルディで24日、18歳の男が小学校に押し入り、用意した銃を乱射。児童19人を含む21人が死亡した。男は駆け付けた警察官に、その場で射殺された。年々増加する米国の銃乱射事件だが、過去に米国で発生した犠牲者数の多い銃乱射事件ワースト10のうち、半数がテキサス州で発生していた。その理由とは―。

テキサス州ユバルディで24日午前、地元の高校に通っていた18歳のサルバドール・ラモス容疑者が、「(同居する)祖母を撃った」とフェイスブックに投稿し、続けて、「これから学校で銃撃する」などと犯行を予告する内容の投稿をしていたことが分かった。最初に撃たれた祖母は重傷を負ったとしている。

AP通信によると、容疑者は今月、現地で合法的に銃が購入できる18歳の誕生日を迎え、地元の銃砲店でライフルや弾薬を相次いで購入していた。学校でいじめを受けていたとされるが、詳しい犯行の動機などは明らかになっていない。

事件を受けてバイデン大統領は、銃規制強化の重要性を訴えたが、共和党のアボット・テキサス州知事は会見で、その必要はないとし、銃規制をめぐる意見の隔たりが改めて浮き彫りとなっている。

同州オースティンのNBC系列のテレビ局KXANは、過去に米国で起きた銃乱射事件のうち、今回を含む犠牲者数の多い事件ワースト10の半数が同州で起きていると伝えた。テキサス州は人口規模では全米でカリフォルニア州に次いで2番目。だが、カリフォルニアがワースト10に入っているのは1984年にサンディアエゴのマクドナルド店で21人が死亡したサン・イシドロ・マクドナルド銃乱射事件だけだ。

その全米ワースト10のうち、テキサス州で発生した事件は、24日のもの以外は次の通り。

 

 

1966年8月1日 テキサスタワー乱射事件

元海兵隊員で大学院生だったチャールズ・ホイットマン(当時25)は、テキサス大学オースティン校にある本館時計塔に狙撃ライフルなど銃器を持って立てこもり、銃を乱射。妊娠中の女性を含む14人を殺害、30人を負傷させた。うち2人は撃たれた傷がもとで後日亡くなった。ホイットマンは警察の狙撃部隊により射殺された。

1991年10月16日 ルビーズ銃乱射事件

ジョージ・へナード(当時35)は、同州中部キリーンにあったレストラン「ルビーズ・カフェテリア」のガラス窓を車で激突させて突き破り、店内にいた客など43人を撃った後、トイレに隠れ、自殺した。この事件で23人が死亡、27人が負傷した。

2017年11月5日 サザーランド・スプリングス教会銃撃事件

デビン・パトリック(当時26)はサザーランド・スプリングスのファーストバプテスト教会に押し入り、妊婦を含む26人を射殺し、22人が負傷した。パトリックは運転してきた車の中で自殺した。

2019年8月3日 エルパソ銃乱射事件

米スーパーマーケットチェーン「ウォルマート」のエルパソ店に、自動小銃で武装したパトリック・クルシウス(当時21)が侵入し、銃を乱射。客ら22人が死亡し、数十人が負傷した。事件後、クルシウスは自首。裁判で被告は無罪を主張し、連邦と州裁の2つの裁判所で公判が行われる。


 

ちなみに、全米ワースト1は17年10月1日にネバダ州ラスベガスで起きたラスベガス・ストリップ銃乱射事件。ラスベガスの野外コンサートの観客を標的とし、ホテル32階の部屋から無差別に銃を乱射し、60人が死亡、867人が負傷した史上最悪の大量殺人。パドックは警官隊の突入前に自殺したとみられている。

そんな中、KXANは2019年、同州で多くの犠牲者を出した事件を調べたところ、1980年~2019年までの約40年間に32件の銃乱射事件があったことを確認した。では、なぜテキサス州でそのような銃乱射事件が後を絶たないのか。

その象徴的な出来事が事件後、アボット知事の記者会見中に起きた。学校の講堂で行われた会見を聞いていたオルーク元下院議員(民主党)が壇上に詰め寄り、「知事、言いたいことがある」と声を上げた。「(事件は)予測出来なかったと言ったが、十分に予測できた」などと主張。不適切な発言だとされ、オルーク氏は講堂から退場させられたが、その途中も同氏は知事に向かって、「これはあなたの責任だ」と訴えた。

オルーク氏が知事の責任を追及したのは、昨年9月に施行された銃規制緩和の新法のことだ。免許を取得せずに、一般住民が安全講習を受けなくても公共の場所で銃を人目に見える状態でも持ち歩くことが可能になったのだ。以前は、免許を持つ住民のみが拳銃の携帯を認められ、講習を修了して筆記試験や実技試験に合格することが条件とされていた。

新法の採決では、同州議会下院で共和党は民主党や銃規制推進派の反対を押し切り、賛成82、反対62で可決。アボット知事は、「ローンスター州(テキサス)に自由を浸透させた」と宣言して法案を成立させた。これにより、CNNは「警察が銃暴力から市民を守ることが一層難しくなる」と専門家は警鐘を鳴らしたと伝えた。「銃を持つ善人と銃を持つ悪人」を警官が見分けるのが難しくなったというわけだ。

それでも多くのテキサス州の住民にとっては、「事件があるからこそ銃が必要だし、持ちたい市民の権利をはく奪することは死ねと言うこと」という銃社会独特の思考があり、それは米国の合衆国憲法修正第2条で「銃を持つ権利」がうたわれている。これだけ全米各地で銃による犯罪が繰り返される中、テキサス州のように銃規制を緩和する州が増えつつあるのも現実だ。

これまで多くの共和党候補の支援してきた〝全米最強のロビイスト〟と呼ばれる全米ライフル協会(NRA)は27日(日本時間28日)、テキサス州ヒューストンで年次総会を3日間の予定で開く。トランプ前大統領も出席するこの会議で何が語られるか、世界中から注目が集まる。

 

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