2022-06-04 ライフ

書体デザインの新たな夜明け! 「justfont」が台湾に巻き起こしたムーブメント

注目ポイント

2010年に突如として登場した書体デザインのベンチャー企業「justfont」。彼らが行った書体デザインの伝道活動によって、台湾のデザイン業界に書体の新たなムーブメントが巻き起こりました。

「台湾道路体」(湯六さん、justfont制作)

また「厚道体」で、日本の「モリサワタイプデザインコンペ」の和文部門でファン投票1位を獲得した林芳平さんもjustfontの書体デザインスクールを卒業しています。そして今、非常に話題となっている台湾の道路標識などの書体をモチーフに制作された「台湾道路体」のデザイナー湯六(劉獻隆)さんも、justfontから書体のデザインを学んだようです。

 

justfontが台湾社会に与えたもの

このように台湾のデザイナーに大きな影響を及ぼしたjustfontですが、自身も2015年に新作書体「金萱」の制作資金をクラウドファンディングサイト「FlyingV」で募集したところ、なんと7,662人もの援助によりおよそ2,600万台湾ドルを獲得。先程あげた溫珩如さんがデザインした書体「風体」と「拳体」も、台湾のクラウドファンディングにて、延べ1,690人の支援のもと合計450万台湾ドルを獲得しています。

このように、それまではフォントにお金を払う習慣のなかった台湾社会が「書体デザイン」に注目し、支援という形でも大きなお金が集まるように変化しました。これにより開発資金が十分にある大手書体デザイン企業だけでなく、個人のデザイナーがインディペンデントな書体を制作し、販売することが可能になっています。

これも「台湾の文字のある風景を良くしたい」というjustfontの理念に共感し、自国を愛し、その文化を成熟させようという台湾人の情熱があったからではないでしょうか。

justfontが誕生するまでは、通ずる道すら見えなかった「書体をデザインすること」に彼らが光を当て、草をかき分け進んだ獣道を台湾の若いデザイナーたちが追従し、大きな道になろうとしています。

この潮流は現在も続いており、また今日も新たなデザイナーが素敵な書体を生み出そうとしていることだと思います。今後もこの台湾における書体のムーブメントに私は注目していきます。
 

 

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