2022-06-06 観光

台東の地方創生を担う「東東市」 厳選の地域ブランドで土地の魅力をアピール

注目ポイント

地方創生の流れが強まる台湾。台東の人気観光地でセレクトショップ「東東市」を運営する黄秀玲(Show)は、地域の手仕事や特産品を集め、観光客には新たなライフスタイルの提案を、地域にはポジティブな経済サイクルを生み出している。

「東東市」には、台東の様々な優れた職人や工房、特産品が集まっており、多様で現代的な台東カルチャーを旅行者に伝えている。東東市/提供

 

「台東という土地は人をくっつけてしまう」とよく言われるが、台東に惚れ込み、くっついた(移住した)黄氏はこう語る。

「台東の土地柄や人間性は、ペースがゆっくりで、ピュアな食や、さまざまなエスニシティの創意工夫により、棚には商品はキラキラと輝く商品が並んでいます。そして、東東市の価値は、売るためにあるというだけではなく、台東のライフスタイルを提案するという点にあります。私たちが一番伝えたいのは、モノの後ろにある温かなその土地の人たちの物語なのです」と。

 

東東市との協力関係でブランドを再構築する

台東の生産者にとって東東市は、地元の魅力を発信するチャネルであるだけでなく、地元ブランドのパートナーでもある。台東東河の尚徳村にあるハーブ農園「小村遠遠」は、農場での生産から独自のブランドの確立まで東東市のアドバイスを受け、デザインエネルギーやチャネルに対する考え方を導入し、商品ラインナップと市場のポジショニングを再構築した。

市場の感度やリアルな販売データのフィードバックをブランド価値の再構築に役立て、「台東という土地で育まれた香り」という位置付けを明確にし、自分たちのフレグランスが持つエネルギーを都市の人たちの癒しのパワーへと転換させている。

台東東河の尚徳村にあるハーブ農園「小村遠遠」は、東東市との協力関係を通して、台東発のフレグランスが持つエネルギーを都市の人たちの癒しのパワーへと転換させた。東東市/提供

 

「野菜皇后」は、各集落で採れた野菜で手作りした頭皮ケアのせっけんを売りとしており、東東市で多くの人に体験してもらうことで露出を高めた。

東東市が実施した「台東 100 色」という企画展では、野菜由来のせっけんと土地の関係に着目し、台東の文化を従来と異なる視点で伝えることで、市場から大きな反響を得ただけでなく、集落の人たちが自信と文化的アイデンティティを取り戻すことにもつながった。

東東市では、都蘭集落で子ども向けに文化教育の活動を行っている「搖滾媽媽 Rock.Ina」、支援を必要とする若者たちが流木を使った木工芸で自立を目指す「山野牧人木工坊」、多良集落で公東工業高校の優れた木工技術を引き継ぐ「向陽薪伝木工坊」もサポートしている。

また、緑島の活性化と再生を図る「島嶼見学」、海風に吹かれて成長した長浜の海米「長浜一号」、鹿野の特色ある茶「紅烏龍合作社」や「博雅済」は、いずれも東東市で広く人気を集めるブランドだ。

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