2022-06-08 調査データ

コロナ禍の現状に対する実感

© Shutterstock/達志影像

注目ポイント

コロナ感染者の絶対数の多寡にかかわらず、ウィズコロナへの方向転換、様々な制限の解除、10~20%台の確保病床使用率 など、明るい兆しも見え始め、ワクチン接種率の増加も重なり、表面的な日常は戻りつつある昨今、国民は不安を抱えたまま、2年半も苦しめられたコロナ禍から一歩抜け出そうとしているように思える。指標が現状のレベル2からレベル1になった時、国民の意識がそれに即呼応して変化するのか、しばらく様子を見るのか、まだ予断を許さない。

   3月21日の期限をもって、まん延防止等重点措置がすべて解除された。飲食店の通常営業、都道府県をまたぐ旅行や各種イベントの解禁など、3年ぶりに行動制限がなくなり、日常が戻りつつあると感じ始めた人も増えてきた。5月3日に広島マツダスタジアムで行われた広島-巨人戦は、定員33000人の球場に30580人の観客が入場し、観戦した[1]。5月上旬には新規陽性者数が3万人にまで減少。今後一年間の状況が悪化するだろうと予想する人が減り、好転するだろうとする人がわずかながら増加した。政府はウィズコロナ政策に軸足を移し、全国の観光地や渋谷スクランブル交差点には人が戻ってきた。多くの人が動き始めたゴールデンウィーク後半の5月3日から9日に、日本の一般消費者がコロナ禍において現状をどう感じるかについて調査が行われた。

© 東京新聞2022年5月15日

  • 現状に対する実感

   1月から一日の感染者数が急増し、ピークの2月には3万人を超えた結果、過去1年間の日本の状況が悪化したと感じた人は1月の42%から2月には61%に増加、その後感染者数は徐々に減り始め、悪化と感じる人の割合も3月54%、4月55%から、5月には49%となり、半数を切った。一方、今後1年の状況が好転すると感じている人は、4月の8%から微増し、5月には10%となった。

   好転と答えた人の割合はまだ多くないとはいえ、緩やかな改善傾向を示している。まん延防止等重点措置が全面解除されて、経済活動や外出行動に対して国民が積極的になったにもかかわらず、楽観視できる人がまだ微増なのは、新型コロナウィルス変異株の再拡散と、それに伴い、政府や地方自治体がまた厳しい対策をするのではないかという不安と不透明感を感じているからだと考えられる。

  • コロナワクチン接種に対する意識

   前回に引き続き、ワクチン接種の回数とワクチン製造社を調査した。60歳以上の人と18歳以上で基礎疾患がある人に対して、5月下旬から4回目の接種が始まろうとしている中、3回目の接種を終えた人の割合は前回の32.9%から53.4%へ、大きく飛躍した。1回目、2回目と違って、供給量や流通・分配システムなどはすでに整っているが、やはり依然として副反応に対する不安が3回目接種完了者の割合を頭打ちにしているものと思われる。

   また、1回目と2回目は74%の人がファイザー社のワクチンを、24%がモデルナ社を選択したが、3回目はモデルナ社が51%に増え、ファイザー社は48%に減るという逆転現象が起き、ほぼ同率となった。これは、厚生労働省研究班が2月に発表したデータに基づいたものと判断される。すなわち、3回目にモデルナ社ワクチンを接種した場合、抗体値はファイザー社ワクチン接種のケースより高くなるが、同時に発熱、倦怠感、頭痛などの副反応もモデルナ社の方が高いという結果が出た[2]。効果を期待するか、副反応を恐れるかに国民の見方が二分された形となった。

  • 今後1か月の支出予算の変化

  今後一年間の支出予算の変化について調査したところ、ほとんどの年代で現状維持が6割前後であることがわかった。これは前回調査の結果と大差なく、行動制限がなくなったり、飲食店が通常営業になったりしても、将来の経済状況に多少の不安が残り、支出を増やすか減らすか、なお慎重に見極めている結果ではなかろうか。16~29歳代で現状維持が63%と最も多く、50~60歳代では48%が現状維持を選んでいて、全年代で最少となっている。商品カテゴリー別に見ると、旅行に関する支出が減ると予想した人の割合は全世代で1~6%減少しており、支出が増加すると予想したのは、16~29歳代と30~39歳代が16%で前回比+5ポイント、40~49歳代が14%で前回比+3ポイント、50~60歳代が16%で前回比+3ポイントというふうに全世代で増加している。

  外食/娯楽分野では、40~49歳代は予算が減ると答えた人が前回の34%から28%に減っており、同時に増加予想も14%から13%に減っている。つまり、現状維持が52%から59%に増加したのである。それ以外の年代ではすべて、予算の減少予想が2~7%減り、予算増加予想が1~6%増えた。現状維持と予想したのは、前回調査では全世代5割前後だったが、それから多少増え、今回調査では16歳代68%、一番少ない50~60歳代でも57%であることがわかった。

  石鹸、洗剤、消毒液、マスクなどの家庭用品に関する消費は、相変わらず現状維持が8割以上を占めており、コロナ以前の日常生活のみならず、コロナ禍での必要品としても既に国民の間に広く浸透しているように思える。40~49歳代と50~60歳代は、全世代で最も高い8%の人が支出予算減少と予想、支出予算増加を予想した人の割合は30~39歳代が9%で最も低く、40~49歳代が12%で最も高くなっている。

  コロナ感染者の絶対数の多寡にかかわらず、ウィズコロナへの方向転換、様々な制限の解除、10~20%台の確保病床使用率[3]など、明るい兆しも見え始め、ワクチン接種率の増加も重なり、表面的な日常は戻りつつある昨今、国民は不安を抱えたまま、2年半も苦しめられたコロナ禍から一歩抜け出そうとしているように思える。指標が現状のレベル2からレベル1になった時、国民の意識がそれに即呼応して変化するのか、しばらく様子を見るのか、まだ予断を許さない。

 

コロナ禍の現況に対する実感調査

調査目的:日本の一般消費者のコロナ禍の現況に対する実感調査

調査対象:16歳~60歳の日本在住インターネット利用者

調査方法:インターネットによる調査

調査期間:2022年5月3日~5月9日

回答数:843人

著者:橋本行平


 


[1]ヤフージャパン https://baseball.yahoo.co.jp/npb/schedule/?date=2022-05-02

[2] NHK首都圏ナビ https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220221b.html

[3] https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/