注目ポイント
コロナ感染者の絶対数の多寡にかかわらず、ウィズコロナへの方向転換、様々な制限の解除、10~20%台の確保病床使用率 など、明るい兆しも見え始め、ワクチン接種率の増加も重なり、表面的な日常は戻りつつある昨今、国民は不安を抱えたまま、2年半も苦しめられたコロナ禍から一歩抜け出そうとしているように思える。指標が現状のレベル2からレベル1になった時、国民の意識がそれに即呼応して変化するのか、しばらく様子を見るのか、まだ予断を許さない。
3月21日の期限をもって、まん延防止等重点措置がすべて解除された。飲食店の通常営業、都道府県をまたぐ旅行や各種イベントの解禁など、3年ぶりに行動制限がなくなり、日常が戻りつつあると感じ始めた人も増えてきた。5月3日に広島マツダスタジアムで行われた広島-巨人戦は、定員33000人の球場に30580人の観客が入場し、観戦した[1]。5月上旬には新規陽性者数が3万人にまで減少。今後一年間の状況が悪化するだろうと予想する人が減り、好転するだろうとする人がわずかながら増加した。政府はウィズコロナ政策に軸足を移し、全国の観光地や渋谷スクランブル交差点には人が戻ってきた。多くの人が動き始めたゴールデンウィーク後半の5月3日から9日に、日本の一般消費者がコロナ禍において現状をどう感じるかについて調査が行われた。

© 東京新聞2022年5月15日
- 現状に対する実感
1月から一日の感染者数が急増し、ピークの2月には3万人を超えた結果、過去1年間の日本の状況が悪化したと感じた人は1月の42%から2月には61%に増加、その後感染者数は徐々に減り始め、悪化と感じる人の割合も3月54%、4月55%から、5月には49%となり、半数を切った。一方、今後1年の状況が好転すると感じている人は、4月の8%から微増し、5月には10%となった。
好転と答えた人の割合はまだ多くないとはいえ、緩やかな改善傾向を示している。まん延防止等重点措置が全面解除されて、経済活動や外出行動に対して国民が積極的になったにもかかわらず、楽観視できる人がまだ微増なのは、新型コロナウィルス変異株の再拡散と、それに伴い、政府や地方自治体がまた厳しい対策をするのではないかという不安と不透明感を感じているからだと考えられる。

- コロナワクチン接種に対する意識
前回に引き続き、ワクチン接種の回数とワクチン製造社を調査した。60歳以上の人と18歳以上で基礎疾患がある人に対して、5月下旬から4回目の接種が始まろうとしている中、3回目の接種を終えた人の割合は前回の32.9%から53.4%へ、大きく飛躍した。1回目、2回目と違って、供給量や流通・分配システムなどはすでに整っているが、やはり依然として副反応に対する不安が3回目接種完了者の割合を頭打ちにしているものと思われる。
また、1回目と2回目は74%の人がファイザー社のワクチンを、24%がモデルナ社を選択したが、3回目はモデルナ社が51%に増え、ファイザー社は48%に減るという逆転現象が起き、ほぼ同率となった。これは、厚生労働省研究班が2月に発表したデータに基づいたものと判断される。すなわち、3回目にモデルナ社ワクチンを接種した場合、抗体値はファイザー社ワクチン接種のケースより高くなるが、同時に発熱、倦怠感、頭痛などの副反応もモデルナ社の方が高いという結果が出た[2]。効果を期待するか、副反応を恐れるかに国民の見方が二分された形となった。

- 今後1か月の支出予算の変化