2022-05-26 政治・国際

【数字で見る冷凍の世界】ー冷凍マグロー

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

世界的に拡大しているマグロの消費。痛みやすいマグロの味や食感、鮮やかな〈赤〉を保つためには、少しでも速く、低い温度で凍らせる冷凍技術が欠かせない。日本、台湾の冷凍マグロにかかわるさまざまな数字を紹介する。

今年春、台湾産の冷凍アテモヤの販売が日本のスーパーで本格的に始まった。日本の食卓に並ぶさまざまな食品には、アテモヤのように冷凍技術を活用して台湾からやってくるものが意外と多い。【数字で見る冷凍の世界】では、そんな日本と台湾にゆかりのある冷凍品のトリビアを紹介する。初回は日本でも台湾でも人気の〈冷凍マグロ〉について。

※特記ない場合、数値は記事公開時のもの

 

1903年/マグロの〈産業化〉

日本でも台湾でも、いまや回転すし店やスーパーの鮮魚コーナーで当たり前に並んでいる刺し身マグロ。そもそも私たちが日常的にマグロを食べるようになったのは、この100年ほど。1903年に米国カリフォルニアで〈ツナ缶〉の製造が始まったことがきっかけだ。戦後、高度経済成長期の日本では、超低温冷凍技術や流通網の発達で刺し身マグロが普及。加工品が主で、刺し身といえば近海ものだったマグロが、食べる習慣のなかった地域にも広がった。

 

マイナス60度/食卓を変えた冷凍技術

刺し身マグロの普及に貢献したのが超低温冷凍技術。従来の冷凍よりもはるかに低いマイナス60度以下でマグロを急速冷凍するもので、フロン冷媒の導入で1970年代に普及した。最近では環境負荷の高いフロン冷媒に代わる空気冷媒によって、マイナス100度も実現されている。

 

1970年代/台湾産マグロの買い付け

現在、日本で食べられる刺し身マグロの多くは輸入でまかなわれている。世界中から輸入される中で、輸入量がもっとも多いのが台湾産だ。1970年代後半から台湾漁船からのマグロの買い付けが始まり、マグロの流通システムの確立においても日本と台湾の関わり合いは深い。

 

2008年/台湾市場を支える大型施設の誕生

陸揚げされた冷凍マグロはマイナス60度からマイナス65度の超低温冷蔵庫で保管され、出荷を待つ。台湾で初となる1千トン級のマグロ専用の大型超低温冷蔵庫は、日本と台湾のマグロ業界が台湾市場の拡大を目指した合意に端を発して、2008年に高雄市に設置された。台湾国内のマグロ消費量が増えた時期に重なる。

 

30元/回転すし店の定番といえば

台湾でも日本でも、回転すし店は新鮮なマグロを味わう恰好の場所。台湾の業界最大手は1996年創業の爭鮮(Sushi Express)で、公式ホームページによると全国で278店舗を展開中。中国の140店舗を筆頭に、香港、シンガポール、タイにも進出している。一皿30元(約130円)が主で、台湾に進出しているくら寿司やスシローなど日本発のチェーン店の一皿40元(約170円)より依然リーズナブルだ。


夏にかけてはクロマグロの水揚げシーズン。日本各地や、台湾南部で最大の漁港とされる東港(屏東県)でも最盛期を迎えている。台湾国内での需要増で、以前と比べると日本への輸出は減少したというが、脂がのった新鮮な刺し身マグロをおいしく味わえる背景には、知られざる技術の進歩がある。

 

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