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21日投開票のオーストラリア総選挙で、野党・労働党が勝利し、9年ぶりの政権交代が実現した。同党のアンソニー・アルバニージー党首(59)は23日首相に就任し、24日に東京で開かれる日米豪印4か国(クアッド)の首脳会議で外交デビューする。シングルマザーの女手ひとつで育てられたという同国でも異色の新首相アルバニージー氏とはどんな人物なのか―。
自伝「アルバニージー/率直に語る」(2016年)によると、アイルランド系オーストラリア人の母親マリアン・エレリ―さんは62年、人生最初で最後となった海外旅行先で、当時クルーズ船の乗務員をしていたカルロ・アルバニージーさんと出会った。欧州や英国、アジアを経由して7か月の旅行を終えてシドニーに帰ってきた時は妊娠4か月だったという。
マリアンさんは63年に一人息子を出産し、キャンパーダウンの公営住宅で両親と暮らした。母親を気遣い、02年に亡くなるまで、アルバニージー氏は会ったことのない父親捜しをしなかったが、労働党政権下の09年、運輸・インフラ担当大臣としてイタリア訪問した際、父親が住む同国南部バルレッタで初対面を果たした。
それから13年。オーストラリアの首相となったアルバニージー氏は24日、東京で開催されるクアッド首脳会議に出席するため来日し、日本の岸田首相、バイデン米大統領、モディ印首相と初顔合わせをする。
外交政策はモリソン前首相が進めたアジア太平洋地域における対中国戦略を継承すると明言している。クワッドは自由や民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する4か国の枠組みで、覇権主義的な動きを強める中国をけん制する狙いがある。
今回の会議は、ワクチンなど新型コロナ対策、気候変動、宇宙、サイバー、インフラ、重要・新興技術の6分野で作業部会が設置されていて、それぞれの進捗状況を確認し、さらなる協力に向けた話し合いが予定されている。
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