2022-02-25 経済

ウクライナに侵攻したロシアに対する有効な制裁 手段はドル決済制限、新興財閥成金の口座凍結か

© Photo Credit: AP / TPG Images達志影像

欧米諸国による度重なる警告にもかかわらず、プーチン大統領(69)のロシアは24日早朝(現地時間)、ウクライナ各地への全面攻撃を開始した。日米欧は侵攻を強く非難し、ウクライナへの支援を継続すると同時に、ロシアへの厳しい追加経済制裁を打ち出している。戦火の拡大を防ぐため、プーチン氏を抑制できる有効な手立てはあるのか、西側の模索が続いている。

モスクワ証券取引所(MOEX)は同日、ウクライナへの攻撃が始まるやいなや全取引を一時的に中断すると発表。同日午前10時(現地時間)に取引を再開したが、MOEX指数は一時45%も下落し、ロシア株式市場の代表的な株価指数であるRTS指数も40%値下がりした。米CNNビジネスは、同日の暴落はロシアの大手企業の価値が、1日にして750億ドル(8兆6000億円)消失したことになると伝えた。

また、ロシア通貨のルーブルも一気に下落。ルーブル売りが進行し、一時は1ドル=89・60ルーブルのドル高ルーブル安の記録を更新。先週の1ドル=75ルーブルからの急落となった。ロシアのインターファックス通信によると、ロシア中央銀行は為替市場の介入を指示した。

経済が疲弊しているロシアに対し、米国が検討している経済制裁の〝決定打〟は、ロシア金融機関によるドルへのアクセス阻止だ。国際金融ネットワークである「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの銀行を排除することで、ロシアの貿易決済を限りなく制限するというもの。バイデン大統領は、「ロシアの銀行は(国際基軸通貨の)ドルが利用できなくなり、ロシアは壊滅的な被害を受けることになる」と述べた。

SWIFTはG10の中央銀行が管理し、世界200か国以上が加盟。1万1000を超える世界の金融機関が利用している。G10とはSWIFTの本部があるベルギー、米国、日本、英国、カナダ、イタリア、フランス、ドイツ、スイス、スウェーデンの10か国だ。

ただ、欧州連合(EU)の中にはSWIFTからのロシア排除に消極的な加盟国もあり、温度差があることも事実だ。

もう一つ有功な制裁とされるのが、政治的影響力を有するオリガルヒ(ロシアの新興財閥)の要人が所有する個人資産の凍結だ。多くの銀行口座などは英国にあるとされ、ジョンソン英首相は23日、ロシアによるウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認直後、ロシアの5つの銀行と3個人に対する資産凍結などの経済制裁を下院で発表した。

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