2022-02-25 政治・国際

1月26日のオーストラリア・デーは「建国記念日」ではなく「侵略の日」!?同国の若者たちが植民地黒歴史に抗議デモ

© REUTERS/TPG Images

注目ポイント

先住民アボリジニとして初めて国会議員に当選したオーストラリア労働党のリンダ・バーニー議員は、オーストラリアのアボリジニにとって「植民地化の傷は深く、この悲しい日はとても祝う気にはなれない」と話す。


日本にとって建国記念日は、国の誕生日を祝う日とされているが、オーストラリアにとっての1月26日の建国記念日は、政府のアボリジニ迫害に対して多くの人々が黒、赤、黄色で作られた先住民の旗を掲げて抗議する日である。新型コロナウイルスの流行中の今年も例外ではない。オーストラリア国内の主要都市でデモは行われ、政府や若い世代にオーストラリアの暗い歴史を忘れないよう訴え、アボリジニの人々にとって、悲しい日ではなくなるようオーストラリア・デーの日付変更を政府に対して要求している。


オーストラリア植民地時代の黒歴史

オーストラリア建国記念日、またの名を「オーストラリア・デー」とも呼ぶこの日は、1788年にイギリス出身のアーサー・フィリップが、現在のシドニー湾(旧ポート・ジャクソン)に旗を立てて、当時の大英帝国の植民地であることを宣言した。そしてこの1月26日に、オーストラリアの南東部はその名前を「サウスウェールズ」に改名し、後にイギリスの囚人たちの亡命地となったのだ。


オーストラリアの公共放送オーストラリア放送協会は、連邦政府と州政府が、1946年から1月26日を国民の祝日と統一し、1994年からは正式にオーストラリアの祝日として認めている。それ以降毎年、この日が近づくとアボリジニの人々や、この日に抗議する国民達が街中に見られるようになった、と伝えている。


英フィナンシャル・タイムズはこんな報道をしている。毎年この日は、オーストラリアのアボリジニの人々にとってはお祝いではなく、イギリスの占領と侵略の日であり、この大きな傷跡に触れられたくないと願う。そのため、この日のことを「喪の日」や「サバイバル・デー」と呼び、「オーストラリア・デー」と呼ぶことに反対する人も多い。そして、この日にはアボリジニの伝統儀式であるスモーキング・セレモニーが各地で行われ、植物を火で焚き上げることで邪気を払い、心身を清めるという意味が込められている。


スポーツ面においては、オーストラリアの大手メディア、ナイン・ネットワークが、アボリジニの権利について議論する場面がさらに増えてほしいという願いから、この日ビッグ・バッシュ・リーグ(クリケットリーグ)に参加する選手のほとんどがアボリジナル柄のユニフォームを着て試合に出ると伝えている。


一方で、オーストラリア・ビクトリア州のヤラ市議会は、2017年1月26日の「オーストラリア・デー」を国民の祝日ではなく、喪に服す日とすることを全会一致で決議している。

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