2022-05-20 アジア

スウェーデン、フィンランドNATO加盟にトルコ反対 本当の理由

© Photo Credit: Reuters /達志影像 Erdoğan

注目ポイント

NATO(北大西洋条約機構)への加盟申請を17日に正式決定したスウェーデンとフィンランド。加盟にはメンバー30か国による全会一致の賛成が必要で、米国や欧州各国が歓迎の意向を示すなか、NATO古参トルコのエルドアン政権が反対を表明している。欧米が説得に乗り出しているが、先行きは不明だ。トルコの思惑は一体何なのか、専門家が解説した。

エルドアン氏にとって自分の命を狙った反乱分子がギュレン運動と関係し、その信者らを支援するスウェーデンとフィンランドが許せないとの心情が本当の理由のようだ。一方、スウェーデンとフィンランドはクルド人やギュレン運動に携わった学識者、ジャーナリスト、政権反対派などに対するトルコ政府の人権侵害を公式に非難してきた。

サニー教授はエルドアン氏を、「日ごとに独裁色を強め、反民主的な大統領」と表現。「(NATOの新規加盟をめぐる)行き詰りは同盟が直面する問題を提起している。NATOは民主主義国家による同盟のはずだが、うち数か国、特にトルコとハンガリーは自由民主主義から段々と離れ、自国中心の大衆的な権威主義に移行している」と指摘した。

それでもスウェーデンとフィンランドは今週、クルド人問題についてはトルコ側と話し合いで解決できると楽観的な見通しを示した。ロイター通信によると、実際、欧州各国の外交官からすると、エルドアン氏が決裂寸前の姿勢を続けた後、結局は合意するという「交渉ぶり」をこれまでも目にしてきたという。加えて、トルコは戦略的に重要な同盟国で、独自の外交政策を推進しつつも、NATOの使命遂行には大きく貢献し続けていると付け加えた。

 

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