2022-05-19 特集記事

沖縄返還から50年… 大国同士の対立の中で要塞化し続ける与那国島 ~米軍基地50年の歩み~

© Photo Credit: Shutterstock / 達志影像

2022年5月15日、沖縄県は日本に返還されてから50周年を迎えた。 1972年の同日午前0時、沖縄全土で汽笛とサイレンが鳴り響き、1952年のサンフランシスコ講和条約に始まった20年にわたる琉球の米軍統治が終わるという歴史的な瞬間を迎えた。

しかし1972年以降、返還されてから半世紀が経った今でも沖縄には、米軍基地の移設や経済復興など問題は山積。中国の軍事力の増強が進む中、米軍基地や国防の再検討が必要となっている。

1952年からずっと琉球に駐在する米軍は、基地として使用するために多くの用地を取得してきた。 租借といいながら、法的根拠に基づかないものが多く、地主との契約も結ばれていなかったため、アメリカ議会や沖縄県民から抗議の声があがっていた。 1972年以来、沖縄とその他の離島の土地の8%、約18,600ヘクタールが米軍に使用されている。

沖縄の米軍基地が本島北東部の辺野古への移設が決まった件では、反対意見が多いなか、2019年2月に玉城デニー知事が県民投票を実施したが案の定、反対が多数となりいまだ解決に至っていない。

そして、2019年の香港の民主化デモを境に、中国が強硬姿勢を示すようになった。2020年新型コロナウイルスの流行により、世界中が防疫に苦慮しているなか、南シナ海、東シナ海、沖縄県に近い宮古海峡で活動を続ける中国の動きは、日本にとっても憂慮すべき出来事だ。 沖縄本島や離島では、将来起こりうる紛争を回避するために、軍事力の強化からは逃れられないのである。


 

尖閣諸島はまだ銃撃戦が続いている

台湾、日本、中国間の領土問題で最も重要なものの一つが、釣魚台列島(日本語名:尖閣諸島)とその周辺海域の問題である。 特に、2021年2月に中国海警法が施行されてからは、中国の活動が顕著になってきた。

海上保安庁によると、中国海警船による尖閣諸島周辺海域への侵入は、2020年の24回(計29日)に比べ、2021年は34回(計40日)と約4割増加している。 船舶の経済水域での滞在日数は合計332日で、各航海では4隻のうち少なくとも1隻に機関銃を装備しなければならず、船舶の「海軍化」が進んでいることがわかる。

また、中国当局はSNSを駆使して、パトロール中の船舶を「辺境防衛」の格好で映し、「領海侵犯」した船舶を直ちに追放し、武力行使も辞さないことを示唆する動画を作成し、日本側当局を驚かせた。

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