2022-02-21 経済

ワリエワのドーピング問題は大会最大の〝負の遺産〟不可解判定やスキャンダル続出の北京冬季五輪閉会

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

ワリエワのドーピング問題

今大会最大の〝負の遺産〟になったのは、女子フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(15=ROC)のドーピング違反問題だ。フィギュア団体で1位を決めたROCだったが、その直後、ワリエワが昨年12月25日に受けたドーピング検査で違法薬物が検出されたことが判明。心臓病の高齢患者に処方されるトリメタジジンが検出された。これはアスリートには禁止薬物に指定されているのだ。

今大会期間中の検査では陰性だったため、ワリエワの女子シングルの出場をめぐり、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、継続出場を認める裁定を下した。16歳未満の選手に柔軟な対応をとる「要保護者」と位置づけている世界反ドーピング機関(WADA)の規定などを重視したものだった。この決定には多くの反対意見が集まり、今後に禍根を残すことになりそうだ。ワリエワの女子シングル・フリーでの〝絶望〟的な演技と結果は誰もが知るところだ。

選手に立ちはだかった「ルール40」

女子スノーボードのジュリア・マリノ(米国)は、スロープスタイルで銀メダルを獲得。8日後のビッグエアーにも出場を予定していたが、急きょ出場を取り止めた。理由はオリンピック憲章第40条。オリンピック期間中のマーケティングに関する規則で、「ルール40」と呼ばれるものだ。

NBCによると、マリノは自身のスポンサーである高級ファッションブランド「プラダ」の文字が裏面に大きくペイントされたボードの使用を許可しないと通告され、棄権に追いやられた。本人は「スロープでは問題がなかったのに、IOCからビックエアーではボードを承認できないと言われた。ロゴを隠さないと失格になると言われ、ロゴをペンで塗りつぶすよう言われた」とインスタグラムのストーリーに投稿した。

指示通りロゴを塗りつぶしたボードで滑ってみたが、ジャンプで十分なスピードが出ないことなどから出場をあきらめた。

中国をめぐる〝疑惑の判定〟

ほかにも今大会で物議を醸したのが、開催国と韓国の対立だ。開会式で韓国の伝統衣装を着た女性が中国国旗を運ぶ演出について、韓国の政界やメディアは「韓国文化を奪った」として激しく反発。中国側は国内の少数民族との融和をアピールする狙いだったようだが、韓国は「朝鮮半島を中国の一部だとして属国扱いしている」として嚙みついたのだ。

また、韓国がお家芸と自負するスピードスケート・ショートトラックで、自国選手が失格判定を受け、中国選手が金、銀メダルを獲得したため、「不公正だ」などと怒りが噴出した。これはショートトラック男子1000メートル準決勝の1組で、韓国の黄大憲(ファン・デホン)が先頭でゴール。ところが、ビデオ判定でまさかの失格となり、2、3番手の中国選手が決勝に進んだ。2組でも2着になった李俊瑞(イ・ジュンソ)が失格判定を受け、韓国勢は準決勝敗退。中国選手2人が金と銀を獲得した。

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