17日間の熱戦を終え、北京五輪が20日閉幕した。終わってみれば日本は金3個を含むメダル18個を獲得し、冬季五輪では過去最多だった平昌の13個を大きく上回った。一方、今大会は不可解な判定やスキャンダルが続出する五輪でもあった。米NBCシカゴは「北京五輪の最も物議を醸した瞬間」との見出しで大会を振り返った。
ウイグル人聖火ランナー
最初に違和感を与えたのは、開会式で新疆ウイグル自治区出身のウイグル族を代表し、クロスカントリースキーのジニゲル・イラムジャン(20)に最終聖火ランナーという大役を与えたことだった。米国は中国に対し、少数派民族のウイグル族に対する虐待をジェノサイド(大量虐殺)に等しいと主張。昨年12月には北京五輪への「外交的ボイコット」を決め、オーストラリアや英国、カナダなどがそれに続いた。中国側は一貫して西側の批判内容を否定。最終聖火ランナーの1人にウイグル人を抜擢したのも、中国政府の政治的意図が明確に示されたものだった。
隔離施設のまずい食事
女子バイアスロンのヴァレリヤ・ヴァスネツォワ(ROC=ロシア・オリンピック委員)は、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性になり隔離用ホテルに収容された。だが、配給された食事について「これは食べ物じゃない」などとインスタグラムに投稿。続けて「朝食、昼食、夕食、こればかりでもう5日間」とし、トレイに乗った茹でただけのマカロニと茶色いソース、少量の焦げた肉のようなものや、少しのジャガイモが写った画像を添えた。ヴァスネツォワは「体重が落ちて、骨が出てきた。これ以外食べ物がない」と助けを求めた。
食事の酷さや部屋の狭さ、不潔さなど、多くの苦情がコロナ感染により隔離されたほかの選手からもSNSを通じて発信され、あわてた北京五輪組織委員会は後日、環境を改善した。
平野歩夢の大技に不可解判定
NBCはスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢(23)の〝不可解判定〟についても言及。平野は決勝2本目で、縦3回転、横4回転の大技「トリプルコーク1440」を世界で初めて五輪の舞台で決めにもかかわらず、91・75点の低評価でスコット・ジェームズ(豪州)の92・50点に及ばず、2位止まりだった。
だが、3本目では同じ技にさらに高さを加えて96・00ポイントを獲得し大逆転で金メダルに輝いた。この2本目の判定については、各国の選手仲間や実況解説の専門家らから「どこを見ているんだ」などと批判が殺到。責任審判は後日、カメラアングルや瞬時に判定しなければならないことを〝誤審〟の要因に挙げた。