2022-05-17 アジア

香港で民主派の90歳カトリック司教を逮捕 ペロシ米下院議長「中国の弾圧激化」を警戒

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注目ポイント

今年90歳を迎えた香港のカトリック教会の名誉司教・陳日君(ちん・じつくん=ジョセフ・ゼン)枢機卿が先週、香港国家安全維持法違反の疑いで逮捕された。民主活動家らを人道支援したことが「外国勢力と結託して国の安全を脅かした罪」にあたるとされた。この事態を受け、米民主党を象徴するリベラル派のナンシー・ペロシ下院議長は、陳氏の逮捕が中国当局による弾圧のきっかけだとする論説を米紙ワシントン・ポストに寄稿した。

陳枢機卿は11日、2019年の民主化デモに参加して負傷、あるいは検挙された活動家らを人道支援目的で立ち上げた基金に関わったとし、香港の人気女性歌手デニス・ホーや弁護士ら3人とともに逮捕された。4人は同年6月に設立した「612人道支援基金」の信託人を務めたとされる。香港メディアによると、4人は同日深夜に保釈された。

09年に引退した陳氏は、これまで一貫して民主派を支持し、中国政府の宗教弾圧を批判してきた。ペロシ氏は今回の逮捕を民主主義への挑戦だとし、来月4日の天安門事件33周年を前に、「90歳司教の逮捕は中国の弾圧と恐怖のきっかけ」と題する論説をワシントン・ポスト紙に寄稿。欧米各紙がこの論説を紹介した。以下は一部抜粋だ。

(1989年の天安門事件で)中国は、おぞましくも自国の人民を虐殺することによりデモを制圧したが、人々の心に焼きついた自由の炎を消し去ることはできなかった。それでも新たな世代になり、北京政府はこれまで以上に躍起になり、その炎を消そうとしている。実に30年以上にわたり、中国共産党による人権や政治的自由への弾圧は悪化の一途をたどった。

そして11日、90歳になる陳司教らが「外国勢力と共謀」したという容疑で逮捕された。陳氏はカトリックのコミュニティで民主主義を公然と唱え、香港で宗教の自由を訴えてきた。16年には、香港での聖職者の任命に当局が関与を認めるとする中国によるバチカンとの合意案について、陳氏はバチカンに拒否するよう求めた。

今回の逮捕は20年に成立した国家安全維持法により可能になったもので、同法は香港から全ての反対派勢力を排除することが狙いだ。中国政府はこの法を利用し、報道の自由、集会の自由、言論の自由を弾圧し、民主活動家らを逮捕。代わりに中国政府を支持する指導者を香港に据え、中国共産党は陳氏らに照準を合わせてきた。

陳氏の逮捕は、香港の自由への戦いに対する中国政府の弾圧激化や、敗北への不安と恐怖の明らかな表れであり、このような迫害行為は自信ではなく、弱さの印でもある。

15年に香港で陳氏とお会いした時、彼は(中国の)「一国二制度」が重大な危機に瀕していると警告し、20年に首都ワシントンで再会した際には中国政府が約束を守っていないと強く訴えていた。

陳氏ら4人は釈放されたものの起訴されている事実は変わらず、有罪ならそれぞれ最高で終身刑の可能性がある。これまでも主張してきたように、商業的利益優先で中国の人権問題に口を閉ざすなら、世界中どこでも人権問題について語る資格は無い。

米議会は香港の自由への戦いを超党派で上下院議会の垣根を超え、支持してきた。19年には香港人権・民主主義法を成立。また、中国政府によるウイグル人やチベット人らに対する人権侵害を非難する法案も可決し、そういった侵害が無くなるまで今後も継続していく。

香港の人たちのため、また自由を求める世界中の人たちのため、国際社会は今回のような逮捕を非難し、中国共産党に迫害を止めるよう要求する責任がある。

 

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