2022-02-18 ライフ

東京2020-2021 初沢亜利

日本人とは何か。東京とは何か。初沢はそれをここ10年、考え続けているという。

「北朝鮮でも東北でも沖縄でも、私は日本人とは何かを考えてきた。その意味では今回の作品もその地続きにあります。コロナ禍で右往左往した東京人の自画像がそこにはある。自分たちの行動の何が正しかったのか、何が非科学的だったのか、どのような同調圧力によって我々は行動したのか。自分たちの行動を振り返ることは日本人の歴史の振り返ることです。他国に被害を受けたことも他国に被害を与えたことを等しく忘れるという特性にもつながります。この写真集が10年後、20年後に『忘れないための資料』となり得れば」

同じ日本人でも、世代によって変化が生まれている。初沢は驚くべき現象にも向き合うことになる。

「都内の感染率が1%になった頃でも、日本人のマスク着用率は100%に近かった。顔を隠して自撮りしている女の子たちを見たとき、一体どういうことなんだと思いました。それくらい、コロナ禍以前から、日本人は自分を隠したい特性を持つのかもしれないと感じました。それを匿名性という言葉で括るのは簡単ですが、名前だけではなく、もっと関係性において自分を消しておくと楽だという思いがあるのではないか」

写真は1枚の事実である。そしてそこに何を感じるかは、見る者の自由だ。写真家は撮った写真に促され、さらにまた次の景色を探すのだろう。

 

 

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