結局、包商銀行は昨年8月、ようやく破産宣告をすることが許され、残った資産も売却された。
ケース③多分野に進出したコングロマリットの大型破綻
中華人民共和国海南省海口市を本拠地とするコングロマリット「海航集団」もまた巨額債務を抱えて破綻した最近の事例だ。
1993年に航空会社として出発した海航集団は2010年代、当時の極端な金融緩和策に乗じて資金調達を続け、本業だった航空ビジネスのほか、不動産、金融サービス、観光など多岐にわたる産業に進出。17年6月までに同集団の総資産は1・2兆元(約21兆6700億円)に上った。
ピーク時には世界でヒルトンホテルズ&リゾーツを運営するヒルトン・ワールドワイドの株式を25%、ドイツ銀行の株式10%を取得するなど、ロイター通信は投資額が500億ドル(約5兆7600億円)に達したと伝えた。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、同集団は世界全体で40万人を雇用する巨大企業に成長したが、18年7月に共同創業者・王健氏がバケーション先の南フランスで不慮の事故により死亡。同集団の経営も同年末以降は負債増加で経営難に陥り、赤字に転落。19年には中国政府の政治弾圧に抗議する香港デモに加え、新型コロナウイルスの拡大で業績がさらに悪化した。
海航集団は海南省政府の管理下に置かれ、今年1月に1・1兆元(約19兆8600億円)の負債を抱えて破綻。先月になって債権者らは同集団が提案した再建計画を了承し、航空、空港サービス、金融、商業の4つの法人に解体されることになった。

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中国恒大集団の今後
ニュースサイトのインサイダーは、中国政府が被害を最小限にとどめるため、中国恒大集団の経営再建を海航集団方式で進めると推測する。中国恒大集団は資産を売却し、段階的にリスクを管理しながら企業規模を縮小していくだろうとみている。また、そのプロセスは時間を要し、全体の再建計画が終了するには数年かかるとしている。
そんな中、ロイター通信は、当局がすでに国営企業や政府系の不動産開発会社に中国恒大集団の資産の一部を買い取るよう求めたと報道。また、米ブルームバーグは中国政府が同集団の創業者・許家印氏に個人私産を投じて負債を処理するよう指示したと伝えた。
同氏はこれに応じ、香港で所有する2件のマンションを売却するなどし、約11億ドル(約1260億円)を拠出する意向を示しているという。