3月9日投票の韓国大統領選の選挙戦が15日、正式に始まった。革新系与党「共に民主党」の候補・李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事(57)と、保守系最大野党「国民の力」の候補・尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長(61)による2強の激戦とみられるが、キャスティング・ボートを握る可能性がある〝第三の候補〟の動向にも注目が集まっている。
中道系野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補(59)が、ここにきて野党候補の一本化を尹氏に呼び掛けたのだ。調査会社リアルメーターが13日に公表した最新の世論調査によると、大統領選候補の支持率は李氏が39・1%、尹氏が41・6%の接戦だ。2人に続く安氏の支持率は7・7%だが、安氏は尹氏との一本化が実現すれば政権交代が可能だとしている。
韓国紙・中央日報によると、安氏は13日にオンライン会見で野党両党の共闘を訴え、「世論調査国民選挙で1人の候補を決め、誰が候補になろうとお互いランニングメイトになれば、圧倒的な勝利を引き出すことができる」と主張した。これは昨年のソウル市長選挙で、野党陣営が世論調査の結果に基づき候補を決めた例に習い、今回も同様の方法で共闘することを提案した。
医師であり実業家でもある安氏は、これまで大統領選に2回出馬。2012年には有力視されたものの途中で辞退した。17年には文在寅(ムン・ジェイン)大統領に敗れ、第3位の得票率に終わった。今回も現時点で支持率3位と、前回同様の展開になっていることから、尹氏と手を組むことで起死回生を狙ったものとみられる。
これに対し、尹氏は「肯定的に評価する」としたものの、世論調査で選ぶ方法については「少し悩むが残念な点もある」と述べ、慎重な姿勢だ。
いずれにせよ、現時点で選挙戦は李氏と尹氏の一騎打ちの様相を呈している。そんな2人の政策は外交・安全保障ではっきりとした相違がうかがえる。対日外交について、李氏は文大統領の強硬路線を継承するとみられるが、尹氏は北朝鮮との関係改善を優先し、日本との関係悪化を放置したとして現政権を批判している。
尹氏はまた、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮を脅威ととらえ、日米韓の安保体制強化を提唱。中国が反対する地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の追加配備の必要性も訴える。
一方、李氏は文政権を引き継ぎ、米中関係が悪化する中で〝バランス外交〟を重視。中国との経済関係の重要性から、「できるだけ友好関係を維持する」としている。