注目ポイント
今夏、1年遅れで開催された「東京オリンピック2020」では、日本の水谷隼選手と伊藤美真選手のペアが中国ペアに勝利し、日本卓球界初の五輪金メダルを決めた。その盛り上がりも影響してか、街の卓球バーや卓球場がコロナ禍にもかかわらず賑わっている。しかしそんなブームを超えて、日本のグラフィックデザイン界のレジェンド、浅葉克己(81歳)は世界中で「ピンポン外交」と称した活動を続けている。
浅葉自身も台湾を愛し、実際に仕事も多く、アーティストたちとの親睦もある。
「台湾のデザインブームに火がついたのは2008年に国立台湾大学で開催された『台北・東京国際タイポグラフィ展あたりからではないか。僕の作品が3分の1、台湾作家展が3分の1、東京TOC展が3分の1。僕は50点の作品を持ち込みました。2015年には初めて台中でも講演しました。そんなふうに仕事で何度も台湾には行っていますが、故宮博物館と卓球は必ずセットで欠かせません」
浅葉は80歳を超えた今も、毎週、卓球クラブ「東京キングコング」の活動を続け、ラケットを握る。
「ひとりピンポン外交は終わりません!東京キングコング」は全国クラブチーム戦で50代の部5連覇中です。コロナ禍で2年間中止ですが、2022年には6連覇を狙います。これは新記録ですよ」
日本で卓球がここまで明るい場所へやってきた裏側に、浅葉克己の情熱も存在するのである。
浅葉克己(あさば・かつみ)
1940年神奈川県生まれ。県立神奈川工業高校図案化卒業。桑沢デザイン研究所、ライトパブリシティを経て、75年浅葉克己デザイン室を設立。代表作に、サントリー「夢街道」、西武百貨店「おいしい生活」、武田薬品「アリナミンA」、三宅一生のロゴマーク関連など。日本アカデミー賞、東京ADC最高賞、紫綬褒章、旭日小綬章、亀倉雄策賞など受賞多数。東京ADC委員、東京TDC理事長、JAGDA理事、桑沢デザイン研究所10代目所長、東京造形大学客員教授。京都精華大学客員教授。青森大学客員教授。卓球六段。