2022-02-14 観光

連載「いちにの算数いーあるさんすー」 台湾ルネサンス時評:台湾人は村上春樹がお好き?

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先日、早稲田大学構内に出来た村上春樹ライブラリーに取材で行ってきた。1979年のデビューから現在までの全著作や、52カ国で翻訳された著作などが飾られ、しかも手にとって読めるようになっている。他にも、羊男のイラストが書かれた場所は記念撮影スポットになっていたり、村上春樹がかつて千駄ヶ谷で経営していたジャズ喫茶「ピーターキャット」の椅子に座れるかと思いきや、村上春樹の私物のレコードをかけながら勉強できるスペース、果てはDJブースや村上春樹の書斎を再現した部屋まであって、ファン垂涎の建物になっている。

聞くと、日本だけでなく、アジア、特に台湾のメディアからの取材も多く、コロナが落ち着いたら、台湾からのファンの来館も見込まれるということらしい。

そう言えば、僕が初めて台湾を旅行した2011年、公館には、ノルウェイの森というカフェと海辺のカフカというダイニングバーがあって、僕は珍しいと思い、入ったことを覚えている。内装などは、そんなに村上春樹チックではなかったが、これが台湾人が思う村上春樹のイメージなのかなと妙に納得したことを覚えている。

僕は今、中国語を習っているので、今度台湾に行ったら、誠品書店で繁体字版の村上春樹作品を買って勉強しようと思う。そして、日本語との違いを調べたら、日本と台湾の文化の違いも見えてきてより面白い体験になるだろう。

日本の国民的作家になった村上春樹は、台湾だけでなく、中国、韓国でも大人気である。普段、日本や台湾と関係が良くない国でも、村上春樹が好きという一点では繋がることができる。それは、やはり、東アジアは、共通の文化的土台を持っているからだと思いたい。

 

国=個ではないのだから、まずは、村上春樹(何でもいい)を通じて、お互いの国の一個人同士が繋がり、理解し合うことが、東アジアの平和にとって必要ではないのかと思う。ここ最近の不穏なニュースを見て、そんなことを思う今日この頃である。



 


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