注目ポイント
中国共産党の習近平政権の強行政治によって、台湾有事が深刻化するなかで、台湾の若者の台湾意識は高まるばかり。その表れなのか、若者たちの間で台湾語が流行している。
若者の間で台湾語が流行っている背景として、近年の若者の台湾意識(台湾人としてのアイデンティティ確立や独立意識)の高まりや、天然獨(生まれながらに台湾は台湾だと思っている若者のこと)の登場は無関係ではない。
台湾語は蒋介石率いる国民党が入ってくる前に台湾で話されていた現地語であり、広東省で話されていた閩南語がルーツと言われている。彼ら若者世代からすれば、おじいちゃん、おばあちゃんが話していた言葉だ。中国語を使用せずに、その台湾語を使うことによって自らのアイデンティティをより強固なものにする意味があるということなのだ。
「私たちが使っていかないとあと5年から10年で台湾語は消えてなくなってしまう」と危機感を表明する若者も少なくない。過激なものとしては「中国と同じ言語を使いたくない」と主張する若者もいた。
それはカルチャーの分野にも広がっていて、人気台湾語ロックバンド「茄子蛋」の代表曲「浪子回頭」はYouTubeの再生回数が1億回を越えている。その他、拍謝少年も人気台湾語ロックバンドとして有名だ。音楽だけでなく、漫画や文学にも広がりを見せている。人気漫画家・イラストレーターの高妍さんのツイッターでは、たびたび投稿に台湾語が出てくる。のみならず、漫画にも台湾語が出てくるのだ。文学にいたっては、昔から台湾語を尊ぶ運動があるので、これを機に再び勃興する可能性も考えられる。
戒厳令時には台湾語は迫害されたという歴史も持つ。押し付けられた中国語を捨て、台湾語を公用語にする日は来るのだろうか。
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