2022-05-09 アジア

中国の台湾侵攻に備え米国が兵器最適化検証 〝ヤマアラシ化〟を支援できれば撃破が可能に

© Photo Credit: Reuters / 達志影像 Tsai Ing-wen

注目ポイント

米国による台湾の軍備最適化が急がれている。中国からの侵攻に備え、従来型の戦争を想定して開発された兵器に代わり、海からの侵略を撃退できる小さな軍隊に適した米国製兵器を調達するよう、バイデン政権が台湾政府に求めている。

米紙ニューヨーク・タイムズは7日、ロシアのウクライナ侵攻により、中国による台湾進攻の可能性が現実化したとして、台湾の防衛力強化が緊急課題となったと解説。ウクライナ軍が大国ロシアに対して互角の戦いを続けているように、台湾が侵略を撃破できるのか、米国側は台湾の軍事力を再検証していると伝えた。

蔡英文総統は台湾の軍事力を非対称戦争に備えて注力しており、敵が狙いを絞り難い機動兵器の大量調達を進めている。非対称戦争とは、ウクライナとロシアのように、交戦者間の軍事力が大幅に異なる形態のことだ。

だが、台湾国防部の中には蔡総統の軍備調達計画に抵抗している幹部も少なくないという。国防部は米ロッキード・マーティン製の艦載用哨戒ヘリ「MH-60Rシーホーク」など、中国人民解放軍との交戦には適さない兵器をすでに米国に発注済だとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

そのため米政府は台湾側に対し、米国務省がそれらの発注を止めることを伝え、同時に米軍需産業に対し、台湾からの特定兵器の発注への許可を各省庁に求めないよう通達した。これは兵器の調達過程が複雑で、多くの関係省庁が関わっているためで、台湾の武器調達について米政府が承認の一元化を図りたい考えによるものとみられる。

同紙によると、バイデン政権による台湾政府に対する軍備最適化への後押しは、トランプ政権やオバマ政権でも行われてきたものだが、ここにきて広範囲の分野で加速している。民主党、共和党にかかわらず、米議会議員らがウクライナ侵攻を通して一致した結論は、「中国からの侵略を防ぐためには、米国が台湾の〝ヤマアラシ化〟を支援すること」だという。ヤマアラシのように天敵から身を守ることができるような防衛力の構築だ。

米公共政策シンクタンク「米国ジャーマン・マーシャル財団」の東アジア専門研究員ボニー・S・グレイサー氏は同紙に、台湾の軍備適正化はロシアのウクライナ侵攻以前から始まっているが、「侵攻以降、急ピッチで動いていると感じる。ペンタゴンにとっては台湾の真剣度を確認する機会になり、米国の真剣さも試されている」と語った。

実際、昨年3月には米軍のフィリップ・デービッドソン前インド太平洋軍司令官が「6年以内」に台湾有事が起こる可能性があると指摘。「2027年に到来しうる習近平体制の節目」を根拠に挙げ、中国の内政事情が動因になるとの認識を示したのだ

その一方、特定の武器については米国からの調達に大幅な遅れが生じるという深刻な問題も―。

台湾国防部は先週、米国がウクライナへの武器供与を優先したことで、蔡総統が進める機動兵器の調達計画の一環である地対空ミサイル「スティンガー」と自走砲「M109A6(パラディン)」の納入が遅れると発表した。

国防部によると、スティンガーは2026年3月までに250基を引き渡される計画だったが、「国際情勢の変化の影響で、今年(のスティンガーの納入分)の納期に遅れが生じるリスクがある」としている。また、パラディンについても、米国から23~25年にかけて順次、40両が納入される予定だったが、「(米国での)生産がタイトで、納期は早くとも26年以降になる」と、大幅な遅れを明らかにした。

そんな中、今年2番目に多い中国軍機18機が6日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入した。台湾国防部によると、侵入したのは戦闘機「殲11(J11)」と「殲16(J16)」計12機と爆撃機「轟炸6(H6)」2機が含まれていたという。台湾空軍機が緊急発進して警告したほか、監視のためミサイルシステムを作動させた。

AFP通信によると、1日当たりの数として1月23日の39機に次ぐ大規模進入となった。中国軍機による台湾防空識別圏進入は20年に約380機だったが、21年には969機と倍増。今年は6日時点ですでに370機以上となっている。中国による挑発は確実に増大している。

 

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