2022-05-06 アジア

9日のロシア戦勝記念日で奇怪計画が浮上 マリウポリでウクライナ兵捕虜のパレードか

© Photo Credit: AP / 達志影像 Victory Day Parade

注目ポイント

ロシアで最も重要な祝日である第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日の9日、プーチン大統領はウクライナへの「特別軍事作戦」から戦況を一段とエスカレートさせる「宣戦布告」をする可能性を英国のウォレス国防相ら西側の有識者が指摘した。クレムリンはこれを否定しているが、ウクライナ南東部の激戦地マリウポリでは、ウクライナ兵捕虜約2000人を動員し、同地で〝戦勝パレード〟を計画しているとの情報も浮上した。

ロシアにとって戦勝記念日は、ナチスの侵略から祖国(当時のソビエト連邦)を守るため、犠牲になった2700万の英霊たちに不戦を誓う極めて重要な日とされ、モスクワ中心部にある赤の広場では、毎年大規模な軍事パレードが行われてきた。

米FOX ニュースによると、今年はウクライナ侵攻により規模を縮小した軍事パレードの準備が加速している。ロシアのSNS「テレグラム」に掲載された露国防省の計画では、「第77回戦勝記念日のパレードには兵士1万1000人、131点の兵器や軍装備品、軍機77機が動員される」としている。また、「今年はロシア全土の28都市でも軍事パレードが行われ、計6万5000人の兵士、2400点の兵器や軍装備品、軍機2400機以上が動員される」と続けた。

FOXニュースは、モスクワで本番に向けた予行演習が4月下旬、兵士や戦車などの軍車両を動員して行われたと伝えた。

一方、ロシアが激しい攻撃を続けるアゾフスターリ製鉄所があるマリウポリでは、ロシアの占領軍が戦勝記念日にパレードを準備しているとウクライナ軍事情報局(GUR)がテレグラムで伝えた。それによると、「マリウポリが今年の祝典のハイライトになる」とし、「市内の大通りは瓦礫や死体、不発弾を取り除く作業が急ピッチで進んでいる」という。

GURはまた、軍事パレードはロシアの支配下にあるマリウポリ市民約12万人に向けた「大掛かりなプロパガンダ活動」になるとしている。同市のボイチェンコ市長はウクライナのテレビ局に、「彼らは戦争犯罪の証拠をかき消そうとしている」と前置きし、市民たちに破壊された町の清掃作業を強要し、その見返りに食料を与えていると語った。

さらに、ウクライナのオンラインニュース「ウクライナ・プラウダ」は、マリウポリ市長側近の話として、占領軍は〝洗脳収容所〟に集められたウクライナ捕虜約2000人を駆り出し、ウクライナ軍の軍服を着用させ、9日のマリウポリでの祝典で、「捕虜パレード」に参加させる計画があると報じた。

これらの捕虜はマリウポリ近郊のベジメンヌとコザツクにある捕虜収容所で約4週間にわたり収容されているという。同ニュースによると、マリウポリには捕虜数が足りないことから、同収容所から全捕虜を駆り出し、「大人数を集めた奇怪な捕虜パレードに仕立て上げるつもりだ」としている。マリウポリ市民の前で捕虜になった自国の兵士らを見せしめにすることで、誰が支配者なのかを知らしめる狙いがあるとみられる。

そんな中、米紙ニューヨーク・タイムズは5日、プーチン氏が9日に「宣戦布告」し「国家総動員令を発令」することはないとの見解を示すロシア専門家もいると伝えた。その理由について同紙は、第2次世界大戦で犠牲となった先人たちを尊ぶ気持ちはロシア全体の共通した感情ではあるものの、宣戦布告と国家総動員令が発令されれば、高齢者を除く全ての成人男性が対象となる召集令状や、国外移動が禁止されることから、やがてプーチン政権に対する重大な反動になる可能性があるためだとしている。

ウクライナで死亡したロシア軍兵士はすでに7000~2万人以上と報じられる中、ニューヨーク・タイムズ紙によると、夫や息子たちを戦場に送り出した家族は、ロシア政府が死傷者について何ら発表しないことへの不信感を抱いていると指摘した。

同紙はまた、プーチン氏は第2次大戦でのナチスドイツの侵攻がロシア国民に植え付けたトラウマを利用し、ウクライナのゼレンスキー政権を〝ネオナチ政権〟として現実を捻じ曲げ、今回の侵攻を正当化していると説明。ロシア国民のナチスドイツに勝利した誇りをウクライナ侵攻支持につなげようとしていると締めくくった。果たして9日の戦勝記念日が大きな転機になるのか、その時が迫っている。

 

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