2022-02-09 経済

新庄ビッグボスフィーバー

© Photo Credit: AP / TPG Images

―プロスポーツの新しいスタイルとなるか?-

台湾で農歴の新年が始まった2月1日、日本ではプロ野球のキャンプが一斉にスタートした。今シーズンの注目は日本ハムファイターズの新監督、新庄剛志だ。去年11月4日、監督就任の記者会見に派手な服装で現れた新庄氏は「監督って言わないで。ビッグボスでお願いします」と早速の新庄節。そしてそこで後々バズることになる一言「優勝なんか一切目指しません、僕は。」

スポーツ番組だけではなく、バラエティ番組などメディアへの出演が、プロ野球監督としてかつてないほど増え、そのたびにトークやファッションで話題をさらってきた新庄氏に対して、プロ野球OBや評論家、コメンテーターの一部は、注目のされ方が違うと批判した。

日本のプロ野球が国民的スポーツになったのは、テレビの普及が最大の原因である。本塁打世界記録の王貞治、足の速い福本、犠打世界記録を持つ川相、いぶし銀の二塁手辻、イチロー、松井秀喜、大谷などなど、数えきれない数の選手たちがプレーでファンを魅了し、強いチームが人気を博した。ミスタープロ野球長嶋はプレー以外でもファンを喜ばせようと、三振した時のヘルメットの落とし方まで練習したが、これは例外。簡単に言うと、いいプレーとチームの強さでファンが増え、球場に足を運んでくれたのである。

しかし新庄ビッグボスは、沖縄キャンプの初日に派手なコートと三輪バイクで登場した。これが初日の話題になった。もちろんシーズンオフの間、監督としての力量を発揮するチャンスはまだない。新庄監督の指揮には不安と期待が半々であろう。

プロ野球に限らず、プロスポーツはファンに見られてなんぼである。幸いにも昨シーズンのプロ野球観客動員数は、コロナ禍にもかかわらず、史上最多の2653万6962人で、話題になったカープ女子や、2000年代からパリーグを中心に加速したファンビジネスの成功がきっかけと思われる。

新庄ビッグボスのやり方は、賛否両論あると思うが、野球ファンがビッグボス見たさに球場に見に来てくれるだけではなく、もともと野球に興味も知識もない層が、ミーハー気分でもいいから見に来てくれたら、ファン層の底上げにつながり、プロ野球人気は盛り上がるかもしれない。ただ一つ心配なのは、日本ハムの沖縄キャンプ、メディア取材はフィーバーしているが、観覧予約が満席となっていない日が何日かある。オミクロンの感染拡大で沖縄のファンが観覧しようかどうか様子見していることだけがその原因だといいのだが・・・。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい