注目ポイント
今年、日本国内では無名だった1人の女性シンガーが、YouTubeによってあっという間に世界で注目を集めた。 彼女の名前をSinging Cosplayer Hikariという。アニメソングと初音ミクを中心としたボカロ曲のカバーだけを歌い、キュートな歌声とルックスで世界中の聴衆を魅了しているのだ。
YouTubeにアップした彼女の動画22曲の総再生回数は、6,636,000回。
特にその誘因となった曲「夢と葉桜」カバーは、4月20日に配信を開始し、11月17日現在再生回数176万回を超えた。また世界36か国のApple Music / iTunesのJ-Popチャートにランクインし、フランス・インドネシア・タイ・マレーシア・ベトナム・イタリア・オランダ・ルクセンブルク・ポーランド・モンゴル・ウクライナ・カザフスタン・マカオ・南アフリカ共和国の14の国と地域で1位となった。配信開始7か月を経過した今も毎日世界中どこかの国のチャートで上位にランクインしているという。
2021年7月に開催されたイギリスHYPER JAPAN ONLINE 2021に、シンガー・コスプレイヤー・モデルとして参加。また今後もヨーロッパやアジアを中心としたイベントに参加調整中だ。

© Japan Culture Team
J-POPの海外PRを手がけるJAPANESE CULTURE PR TEAMのJ.C.Talk氏は言う。
「帰国子女でもなく、留学経験のない彼女は、音楽活動を始める1年前から英語を勉強し始め、翻訳ソフトを駆使して、約10言語で、毎日SNSを更新していたようです。YouTubeのライブ配信では、簡単な挨拶だけど、その国の言葉を使っています。歌動画には、全て数か国語の歌詞翻訳字幕がついており、世界中のメディアへのプレスリリースも彼女自らが送ったりもするのです。音楽は確かに国境を超えるが、歌詞の意味はわかった方がいいし、母国語で挨拶をしてくれる日本人に視聴者が好感を持つのは間違いないでしょう」

© Japan Culture Team
彼女が注目される少し前から、海外では、日本のシティポップが注目されていた。
2020年の終わり頃から、1980年発売の松原みきのヒット曲『真夜中のドア』がSportifyでインドネシアとアメリカでチャートインし始めたのだ。
2021年もその傾向は続き、1980年代のシティポップが続々と発掘されていった。一方で『鬼滅の刃』や『NARUTO-ナルト』、『東京喰種 トーキョーグール』といったアニメに因んだ曲がまた多く聴かれたが、Singing Cosplayer Hikariのようにカバーシンガーが世界的にヒットした例は類を見ない。
J.C.Talk氏の言うように、多言語で歌詞を伝える努力、本人自らによる世界メディアへの売り込みという前代未聞のプロモーション方法は有効だったに違いない。