注目ポイント
今回は、それぞれ特色を持った6つの動画配信サービスを紹介する。年々競争が激しくなるこの業界では、ユーザーに多様な選択肢を提供している。過去のこの一連のコラムでは、Netflix、Disney+、Hbo Maxなどの大手動画配信サービスについて、様々な角度から紹介してきた。大手各社もさることながら、会社の大小に関わらず各ジャンルの会社が、動画配信サービス市場に力を入れ始めた今、視聴者にはさらに多くの選択肢が広がった。そんな中で、6つのおススメ動画配信サービスの特徴などを分析してみる。
【Filmatique】
ほとんどのインディペンデント系映画(ハリウッドのメジャースタジオに属していない作品)や外国映画がアメリカで上映される機会は少ない。特に、人口の少ない中部地方ではそもそも映画館自体も少ない。Filmatiqueは、そんな中で観衆と非メジャー映画の架け橋になるべく2017年に設立された。
配信される映画は、社内の専属チームによって選ばれ、毎週1本ペースで更新されていく。このアナログ的な選定方法は、先日紹介したMubiやThe Criterion Channelに似ているように感じるが、Filmatiqueの映画は視聴者が少ないため、予算がかなり限られている。Mubiのように毎年のカンヌ国際映画祭で上映された映画の放映権を獲得することなど出来ないのだ。そのため、filmatiqueはロッテルダム国際映画祭やカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭のような、カンヌよりも遥かに小規模な映画祭から作品を選んでいる。
毎週の新作映画とは別に、シリーズものも更新している。例えば、「中東映画シリーズ」や毎年7月には「Filmatique Talentsシリーズ」を出しており、このシリーズは注目の新人監督の作品(通常は処女作、もしくは第2作)を配信している。
Filmatiqueシリーズはもう一つの特徴があり、専属チームは映画評論家や学者たちと共に、映画ごとの紹介や考察なども織り交ぜており、そうすることで視聴者により深く映画を知ってもらおうとしている。
最後にFilmatiqueは現在アメリカやカナダ限定で運営しているが、将来的には他の英語圏への展開も目指しているという。運営費は会員の月額の他に、非会員にも映画を視聴してもらえるよう単体での販売も行っている。
【Shudder】
2015年にAMCによって創設されたShudderは、当初会員招待制のプライベートチャンネルだった(以前大流行したclubhouseのように、招待された利用者しかアカウントを持てないシステム)。ホラー映画ファンが多く、現在では北米、イギリス、オーストラリア、ドイツなどに展開しており、2020年末までで100万人以上ものユーザーを獲得している。
Shudderには現在、恐怖、戦慄、幽霊、虐殺等を題材にした映画ファンが多く、先述の代表カテゴリー外にも、欧米のホラー映画ファン達の想像も及ばないような「隠された宝物(穴場)」のような映画も扱っている。例えば、日本や台湾のアジア諸国で高い興行収入を記録した「カメラを止めるな!」は、Shudderでの配信がきっかけで欧米でも話題になった。