2022-02-02 テクノロジー

ソニーとTSMCの熊本での提携に専門家たちから賛否両論の声が…

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注目ポイント

米国と中国の覇権争いに際し、日本政府はサプライチェーンを安定させるため、ソニーとTSMCの熊本の半導体工場建設のため数千億円を助成した。これに対して国内からは、日本の国際競争力を高める妨げに繋がるなど、一部の大手メーカーのみの利益を高め、公正取引すら歪めかねないと声が出ている。

近年、世界の産業サプライチェーンは新型コロナウイルスの影響により「品切れ」に直面しており、国内産業の円滑な生産を守るために重要な部品であるチップは、戦略的な物資となっている。 「Society 5.0」の実現と産業の空洞化を防ぐため、日本政府がソニーとTSMCに助成金を出して熊本に半導体工場を建設させたことが、批判を呼んでいるのだ。

2021年12月8日、世界的な半導体企業大手のインテルとオンライン小売業のウェイフェアは、CEO カウンシル(次世代)サミットにおいて、アメリカ経済と産業のサプライチェーンの問題は改善しつつあるが、長期的な回復にはもっと時間がかかるかもしれないと見通しを明かした。オンライン小売業ウェイフェアのCEO兼共同創業者であるニラジ・シャー氏は「2021年の夏が一番ひどかったが、今は徐々に回復している」と話したが、インテルのパトリック・ゲルシンガーCEOは、新工場の建設には3年かかると考えており、サプライチェーンの問題が完全に解決するのは「少なくとも2023年以降となる」と語っている。

ゲルシンガー氏はウォール・ストリート・ジャーナル紙に「今が最悪のステージだと考えている」と述べ、さらにインテル社はすでにアジアでのサプライチェーンの再編を始めており、チップの需要に近いところで生産を行うために、アメリカに大規模な「生産基地」となる工場を建設する見込みであることを強調した。

アメリカ運輸長官ピート・ブティジェッジ氏は、ホワイトハウスが港湾の混雑を緩和しつつ、すべてのビジネスに対する圧力に対処するためのインフラ拡張を計画していると話した。また、「 新型コロナウイルスの蔓延が続く限り、サプライチェーンに穴があいてしまうことは、誰もが周知の事実だ」とも。

「チップ不足問題」はこの1年、各国の企業を悩ませ続けている。 例えばインテルでは、チップの生産と出荷の停止、その他様々な要因が重なり同社のノートパソコンの出荷台数が10%も減少し、第3期四半期決算発表で多くの株主を失望させる結果となった。

自動車業界もチップ問題で大きな打撃を受けた。 フォードモーターのCEO、ジム・ファーレイ氏は「最終的には自動車業界でしか使われないような機能豊富なチップが生産できなければ、我々の全ての仕事がリスクにさらされることになる」と語っている。

1つのチップは1社で生産できるものではなく、コンピューターや携帯電話、家電製品、自動車など川下で組み立てられるまでに、1000以上もの工程を必要とする。 また、業界ごとにチップの種類は異なり、それは数え切れないほどあるのだ。

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