2022-02-02 経済

クーデターから丸1年…惨状続くミャンマー 軍事政府と武装化民主勢力の終わらぬ戦い

© Photo Credit: Reuters / TPG Images

ミャンマーで国軍のミン・アウン・フライン司令官が、クーデターを起こして1日で1年。同国最大の都市ヤンゴンでは、軍事政権に抵抗する民主活動家らが同日の日中6時間、店を閉め、家にこもり、外出しないという「静かなるストライキ」を市民に呼び掛けた。多くがそれに応じ、市内は静寂に包まれた。

政府当局は1日を前に、抗議デモをテロ行為とみなし、参加者は扇動罪や電子通信法違反などで厳格に処分するという警告文を配布。同時に数十人を逮捕・拘留したと米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

同紙によると、クーデターから1年後の今、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国でもあるミャンマーでは、軍事政府と市民の対立による武力衝突が国内各地に広がり、経済は蝕まれ、公共機関は崩壊状態となった。この1年間で非暴力デモの参加者でさえ銃撃され、容疑者として拘束されれば拷問を受け、数千人の市民が命を落としたという。

軍事政権は国を統一支配できないほど国民の憎しみを生み、結果として数百の反政府武装集団が、ミャンマー全土で組織された。同紙によると、追放された議員らによる“影の政府”「国民統一政府」は、これらの武装集団を支援している。また、クーデターにより100人以上の議員が逮捕・拘束され、その中にはミャンマーの事実上の最高指導者だったアウン・サン・スー・チー氏(76)も含まれている。同氏は濡れ衣とされる17の罪で禁錮173年が言い渡され、現在自宅で軟禁中だという。

スー・チー氏のもとで民主化を進めてきたミャンマーの5500万人の国民にとって、クーデターによる軍事政権は突然の悪夢と化した。フライン司令官率いる戦車部隊が首都ネピドーに侵入したのだ。国連の調査によると、この1年で40万人以上の市民が軍の武力制圧などで家を焼き払われ、インドやタイ国境を越えたジャングル地帯に身を潜めている。

また、国連によると、首都やヤンゴンなどの都市では、少なくとも1500人の市民が非暴力デモや、自宅、仕事場などで当局により殺害され、地方では砲撃や空爆を含む軍による反政府市民への弾圧で数千人が死亡。8800人以上が拘束されたという。

軍の暴力は現在も続いており、ミャンマー南部のカヤー州の反政府武装集団「カレンニ国民防衛軍」のメンバーは米CNNに、「やつらは今も残虐に殺しを続けている。無法地帯だ」と現状を語った。

国連総会は昨年6月、ミャンマー軍の暴力を非難し、同国への武器流入の阻止を呼びかける決議案を日本、米国、英国などが共同提案し、119か国が賛成し採択した。決議に拘束力はないが、ミャンマーに圧力をかけることに慎重な中国やロシア、ASEANのタイやブルネイなど、合わせて36か国が棄権。意見の隔たりも浮き彫りになった。

クーデターから1年に合わせ、バイデン米大統領は声明を発表。軍事政権の「子供を含む市民への筆舌に尽くしがたい暴力」や、市民への人道的援助さえも受け入れない姿勢を厳しく非難。「われわれはみなさんの苦しみを忘れてはいない。民主主義と法秩序を実現するためのあなた方の勇敢な決意を今後も支援していく」と約束した。

日本でも同日、在日ミャンマー人やその支援者が各地で集会を開いた。東京・外務省前やミャンマー大使館前には同日午後、ミャンマー人や支援者ら数百人が集まり、ミャンマーへのODA(政府開発援助)を止めるよう訴えた。


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