2022-04-27 経済

南太平洋・ソロモン諸島が中国と安保協定 米高官「軍事拠点化なら軍事行動排除せず」

© Photo Credit: AP / 達志影像

南太平洋・パプアニューギニアの東にある数百の島からなる島嶼国(とうしょこく)・ソロモン諸島。太平洋戦争では首都ホニアラがあるガダルカナル島の攻防をめぐり、日本軍と連合軍のし烈な戦いの舞台となるなど、地政学的にも環太平洋の重要拠点の一つだ。そのソロモン諸島が先週、中国と2国間の安全保障協定を締結したことが明らかになった。

人口約69万人のソロモンは英連邦の一員で、長らく友好関係にあった米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本はこれに強く反発。クリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、「もし中国がソロモン諸島に軍事拠点を置き、軍を常駐させるような事態になれば、地域安全保障にかかわる問題として、米国は軍事行動を排除しない」とソロモン側に警告した。

これは同協定の締結を受け、クリテンブリンク氏を特命大使とする米政府代表団が22日、急きょソロモンを訪れた際に発言したもの。米代表団は現地で同国のソガバレ首相と会談。その中で同首相は従来通り、「軍事基地や軍の長期駐留、戦力展開はない」との説明を繰り返したという。

訪問に先立ち、クリテンブリンク氏ら米国側は18日に米ホノルルで日・豪・ニュージーランドの3か国の政府高官らと協議し、中国とソロモンの安全保障協定に対する懸念を共有したと米国家安全保障会議(NSC)報道官が発表した。

ロイター通信によると、オーストラリアのダットン国防相は24日、豪スカイ・ニュースとのインタビューで、安全保障協定は中国が世界各地で展開するパターンに沿っていると指摘。「アフリカを見れば、汚職が存在することが分かる。われわれはそのような戦略とは競争できない」と述べた。ソロモンで汚職があったかどうかはコメントできないとしたが、これまで中国が小国の指導者らに〝経済支援〟を提供することで懐柔してきたことを示唆した。

その一例は米代表団がソロモンを訪問した22日にも――。首都ホニアラでは同日、中国が資金を拠出した国立競技場が完成。開場式に出席したソガバレ首相は、在ソロモン中国大使と並んでテープカットをするなど、中国がソロモンに接近している様子がはっきり見てとれた。

ダットン氏は、「中国は信じられないほどアグレッシブだ。海外での干渉、結果を得るために賄賂を渡し他国に打ち勝とうとする意志など、これが現代中国の現実だ」と指摘。同日、モリソン首相は中国によるソロモンの軍事拠点化はオーストラリアにとっての「レッドライン」との認識を示した。

日本政府も26日、上杉外務政務官をソロモンに派遣し、ソガバレ首相に対して太平洋地域の安全保障への影響を念頭に、日本として懸念していると伝えた。林外務大臣は同日の記者会見で「上杉外務政務官から、中国とソロモン諸島の安全保障協定は太平洋地域全体の安全保障に影響を及ぼしうるものであり、わが国として懸念を持って注視していると伝えた。ソガバレ首相からは『中国軍による基地建設を認める意図はない』といった従来からのソロモン諸島の考え方に基づき、同国の立場について説明があった」と述べた。

一方、米政府代表団は22日の訪問で、ソガバレ首相と約1時間半にわたり会談。終了後にクリテンブリンク氏は、「ソガバレ首相は協定が単に国内にかかわるものだと説明したが、われわれは地域の安全保障にかかわる可能性があるとし、それは米国だけではなく、同盟国や地域のパートナーにとっての問題だとはっきり申し上げた」と述べた。

実は中国との安保協定の草案とされる文書が3月にインターネットに流失。AFP通信は協定締結が中国外務省により発表された19日、「ソロモンが中国に〝社会秩序〟の維持を要請した場合、武装警察の派遣が認められる」などとする内容の一部を伝えた。

英紙ガーディアンによると、クリテンブリンク氏は26日、もし中国がソロモンを軍事拠点化すれば、米国は同地域で対抗措置を取る意思があると繰り返した。「もちろんソロモン諸島の主権を尊重するが、もし(中国)軍が事実上常駐化し、戦力投射能力を持ち、軍事配備が段階的に行われた場合、われわれにとって重大な懸念となり、当然その懸念に対して何らかの対応に迫られるということを理解してもらいたい」と語った。

その〝何らかの対応〟について、クリテンブリンク氏は米国の立場はすでに明確にしていると述べた。バイデン米大統領は先週、「もしソロモン諸島が中国に長期的な駐屯を許すような事態になれば、米国はそれ相応の対応措置を取る」との声明を発表し、ソロモンと中国を強くけん制した。


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