2022-01-28 経済

緊迫のウクライナ情勢でNATO軍も臨戦態勢へ「欧州では第2次大戦以来、最大の危機」と専門家

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ウクライナ国境付近に機甲部隊など兵力10万人以上を集結させたロシアの脅威に対抗するため、NATO(北大西洋条約機構)軍は東欧に米軍8500人を含む臨時部隊を派遣し、臨戦態勢に入った。近年例を見ない規模の軍事衝突の可能性に専門家は、「欧州では第2次大戦以来最大の危機」として緊張が高まっている。

英BBCは、英国が自己防衛のため短距離対戦車ミサイルをウクライナに供給したと報道。米CNNによると、デンマークはフリゲート艦1隻をバルト海に派遣すると共に、F16戦闘機4機をリトアニアに送り、オランダはF35ステルス戦闘機2機をブルガリアに配備。また、フランスはルーマニアに援軍派兵の準備が整ったとしている。ほかにもバルト3国が米国製の対戦車、対空ミサイルをウクライナに輸送するなど、ロシア西部と国境を接するNATO加盟国の動きが慌ただしくなっている。

米報道番組「ザ・ニュース・デスク」(TND)によると、英サッチャー元首相の補佐官で政治解説者のナイル・ガーディナー氏は、「今回は重大な危機だ」とし「ロシアはウクライナを軍事圧力で脅しているが、(もし攻撃が始まれば)1945年以来、欧州の地で勃発した最大の軍事行動になる」と警告した。その上で、ここ数週間でのロシアによるウクライナ侵攻は、「非常に現実味をおびている」と述べた。

また、ワシントンのシンクタンク「新アメリカ安全保障センター」のアンドレア・ケンドール・テイラー研究主任も「第2次大戦以来、最も重大な軍事衝突」になる可能性を指摘した。

ウクライナ情勢をめぐってはロシアの侵攻を阻止するため、米国のブリンケン国務長官がロシアのラブロフ外相と先週、スイス・ジュネーブで緊急会談に臨んだものの平行線に終わり、両国は今週再度、会談した。だが、クレムリンが要求している「NATO不拡大の確約」について、ブリンケン氏は日本時間27日、ロシア側に正式文書でこの要求を拒否したことを明らかにした。

ウクライナ危機のきっかけの一つが、旧ソ連のウクライナやジョージアのNATO加盟の動きで、ロシアはNATO拡大が自国の安全保障を脅かすものとして、西側にNATO加盟国を増やさないよう明文化することを求めているのだ。

ブリンケン長官はロシアへ拒否回答をしたことで、「ボールはロシア側にある」とし、「NATOのドアは開かれているという原則は維持する」と語った。一方、ラブロフ外相は同日、「肯定的な反応はない」と不満を示したが、欧州でのミサイル配備の制限などを念頭に、「協議を期待できるものもある」とも明言。ブリンケン長官とあらためて会談することを明かした。

そんな中、NATOの中でも中心的役割を担うはずのドイツだが、メルケル首相退陣を受けて昨年12月に発足したショルツ新政権はウクライナ危機をめぐり、同盟国から厳しい批判にさらされている。例えばウクライナからドイツ製の軍艦の提供を求めてきたのに対し、ショルツ政権は軍用ヘルメット5000個を供与するとし、同盟国をあきれさせた。ドイツは世界4位の武器輸出大国だが、ショルツ政権は「抑制的」輸出政策を掲げ、ウクライナへの供与も拒否しているのだ。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今週、「ドイツは米国の信頼すべき同盟国ではない」との見出しで、「安価なガスと中国向け自動車輸出、プーチンを怒らせないことを最優先する国だ」と酷評した。

ドイツの場合、ほかの大半の欧州諸国よりもロシア産ガスに大きく依存している。そのためロシアが西側への制裁措置としてガス供給を止めれば、ドイツにとっては死活問題になるため、クレムリンを刺激したくないのが本音だ。

ウクライナ危機をめぐり、ジョンソン英首相は西側の結束を呼び掛けているが、ドイツの対応がロシアを利するとの懸念も出ている。


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