2022-04-25 経済

一家心中?相次ぐロシア大富豪と家族の死 プーチン氏の取り巻き関与を露SNSは示唆

© Photo Credit: Reuters / 達志影像 Gazprombank

ロシア・オリガルヒ(新興財閥)の有力者とその家族の死が相次いでいる。天然ガス大手ノバテク社の元副社長は先週、スペインのリゾート地で妻と娘と共に遺体で発見された。その前日にはロシア3大銀行の一つ、ガスプロムバンクの元副社長が、モスクワ市内の自宅で妻と娘と共に死亡しているのが発見された。それぞれの警察当局は、一家心中とみている。

だが、英紙デーリー・メールは、2家族のほかにも、プーチン大統領に近いとされた別の富豪2人が、今年になって不審な死を遂げており疑念を呼んでいると伝えた。

ノバテク社のセルゲイ・プロトセーニャ氏(55)は19日、バルセロナ近郊リュレッド・ダ・マールのヴィラで、首を吊って死んでいるのが発見され、斧で切り付けられて死亡したとみられる妻ナタリアさん(33)と18歳の娘の遺体も屋内で見つかった。現地の警察は、プロトセーニャ氏が家族を殺害して自らの命を絶ったとみている。

だが、地元の報道によると、遺書などは残っておらず、指紋を残さないように工作した形跡もあり、無理心中と結論付けるには疑問が多いと伝えている。

メール紙によると、プロトセーニャ氏の総資産は3億3000万ポンド(約544億円)とされ、副社長を務めていたノバテクはプーチン氏との関係が深いという。

また、18日にはガスプロムバンクのウラジスラフ・アバエフ氏(51)と妻イェレーナさん(47)、娘のマリアさん(13)の3人の遺体がモスクワのペントハウスで発見された。地元警察は、同氏が家族を殺害し、自殺した可能性が高いと発表した。アバエフ氏はガスプロムバンクの副社長に就任する以前はクレムリンの高級官僚だった。

メール紙は両方の事件について、心中と見せかけた他殺との疑いがあり、当局は捜査を継続していると報じた。ロシアのSNS「テレグラム」のチャンネル「モーザム・オビャスニット」は、「2つのおぞましい事件が、プーチンのインナーサークル(取り巻き集団)との深い関係があることが共通」だとし、また、家族が殺害されている手口も酷似していると指摘した。

オリガルヒを巻き込んだ不審死は他にもあった。メール紙によると、天然ガス業界の大物2人も今年に入り、立て続けに死亡しているという。

ロシアのウクライナ侵攻が始まった翌日の2月25日、天然ガス世界最大手ガスプロムの金融証券部門で副理事だったアレクサンダー・チュラコフ氏(61)が死んでいるのをレニングラードの自宅豪邸で愛人が発見した。首にはロープが巻かれていたという。当局は自殺としているが、地元の報道によると、チュラコフ氏は死亡する前に激しい暴行にあったことを示す痕跡が体中に残っていた。

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