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2022-01-26 経済

台湾有事で米国民は多くの犠牲を覚悟できるのか 中国軍との戦闘シナリオごとに米紙が戦死者数想定

© AP / TPG Images

台湾が設定する防空識別圏(ADIZ)に23日、中国の軍用機39機が進入し、台湾軍機が緊急発進したと台湾国防部が発表した。昨年10月の一挙56機など、2021年は年間延べ約1000機の中国軍機がADIZに侵入するなど、挑発はますますエスカレートしている。そんな中、バイデン米大統領は幾度となく米国の台湾防衛義務に触れており、最新の米調査ではアメリカ人の大半が米軍による台湾防衛を支持していることが分かった。

その台湾をめぐり、「一つの中国」を主張する中国の習近平政権は、同島の完全統一を繰り返し訴え、米国は台湾有事をにらみ防衛戦略の策定を進めている。だが、もし中国が台湾を攻撃すれば、どれほどの人命が失われるのか。米紙ワシントン・ポストは今週、「われわれは多くの犠牲者を出す覚悟はできているのか」との見出しで、中国人民解放軍の上陸阻止や、制圧された後の台湾奪還など、具体的なシナリオで米軍の戦死者数を推測した。

同紙は中国人民解放軍が「世界最大の軍隊」と位置付け、習政権のもとで核兵力を拡大し、迎撃不可能とされる極超音速ミサイルを開発、米軍のステルス多用途戦闘機「F-35」の洗練された技術にも匹敵する軍用機も配備したと解説した。

中国はさらに海兵隊8旅団と水陸両用の軍用車両、大軍の人民軍海上民兵を保持するなど、海からの上陸作戦を見据え、あらゆる軍事資源を注いできたと補足した。

ワシントン・ポストは、台湾の防衛は米軍にとり、あらかじめ駐屯させた兵力もなく、兵站(へいたん)の難しさもあいまって、ベトナム以来最悪の流血戦になる可能性を指摘した。

同紙は「どれほどの血が流れるかは分からない」としながらも、例えば“空母キラー”と呼ばれる中国の「DF-21」準中距離弾道ミサイルが使用され、米海軍のニミッツ級航空母艦が撃沈されれば、乗組員6000人が命を落とすことになるとした。

もし米軍が陸上兵力で台湾の防衛戦に臨んだ場合、ほとんど実践経験のない台湾軍と共に戦いながら、重要拠点に兵力を配置しなければならないという困難に直面すると説明。その場合、想定される戦死者数は公式に算定されていないが、太平洋戦争初頭、日本軍がフィリピン侵攻した際は約2万5000人の米兵が戦死し、さらに約10万人が捕虜となった過去の参考事例を挙げた。

一方、中国人民解放軍が台湾を制圧し、米軍が同島奪還を試みた場合も同様に多くの犠牲者が出るとしている。太平洋戦争末期、マッカーサー率いる米軍によるフィリピンのルソン島奪還作戦では約2万3000人の米兵が戦死した。

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