2022-04-22 経済

北京・国防部トップが台湾問題で米国に警告 「中国の決意と能力を過小評価すべきでない」

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

米国のオースティン国防長官は20日、バイデン政権発足後初めて中国の魏鳳和(ギ・ホウカ)国防部長と電話会談を行った。中国がウクライナに侵攻したロシアに軍事支援するという疑念が高まる中、難局に直面していた米中協議がついに実現した。

AP通信によると、現在はロシアに集中しなければならない状況に置かれているものの、中国を「米軍にとっての最も長期的な難題」と位置付けてきたオースティン氏は数か月にわたり、中国側に許其亮(キョ・キリョウ)国家中央軍事委員会副主席との会談を申し入れていた。だが実現しなかったことから、米国側は中国軍の実質ナンバー2である魏氏との電話会談を打診していた。

もともとオースティン氏が許氏との会談を望んだ理由は、許氏が中国人民解放軍の制服組トップであり、魏氏よりも影響力があるからだとAP通信は説明。だが、中国側はそれに応じず、軍事面の影響力が少ない魏氏を相手に選んだという。

近年、米国歴代の国防長官は魏氏と会談している。直近では2020年8月6日、トランプ政権のエスパー国防長官が魏氏と会談。その際は中国側に新型コロナウイルスに関する情報の透明性を求めた。

今回の協議でオースティン氏は大きな成果は期待していなかった。会談後に米国側は、オースティン・魏の両氏が米中の国防や地域安全保障、また「ロシアによるウクライナへの一方的な侵略」などの問題についても意見を交わしたと説明。だが、詳細な内容については明らかにしなかった。

オースティン氏はまた、中国の台湾への軍事挑発について懸念を表明。同時に南シナ海や東シナ海での中国の活動についても不信感を示したという。

一方の中国国防部は、会談で交わされた具体的な内容に触れ、「魏氏は台湾問題について厳粛な姿勢を示し、台湾は中国の不可分の一部であり、誰も変えることはできない。それが事実で現実だ」と強調した。これは、中国政府のこれまでの主張を繰り返したものだ。

中国側はまた、両氏が「海と空の安全保障問題」についても意見を交わしたと説明。魏氏はオースティン氏に対し、米国は海域での軍事挑発を止め、中国の信用を傷つけ、陥れ、脅迫し、圧力をかけるためにウクライナ問題を利用しないよう求めたとしている。

中国国営・新華社通信は、魏氏が「中国は米国との良好で安定した関係」を望むとオースティン氏に伝える一方、「米国は中国の決意と能力を過小評価するべきではない」とし、台湾への米国の関与を強くけん制したことを示唆した。

AP通信によると、長年にわたり中国は自国の国益のため新たな世界秩序を構築し、軍事力を増強させることで、やがてアジアで米国に取って代わろうとしているとワシントンはみている。それに対抗する姿勢は、特にバイデン政権発足で強固になり、米中関係は一層緊張。AP通信はさらに、今回のウクライナ侵攻を引き金に、ロシア支援が見え隠れする中国との関係は、かつてないほど険悪だとしている。

 

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