2021-11-30 経済

中国が「住宅市場の安定」のため指導価格を下方修正 北京、上海、杭州などの中古住宅の価格が半減し購入者に衝撃

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注目ポイント

中国は住宅価格を安定させるため、すでに10以上の都市で「中古住宅の指導価格」を導入し、1線都市に展開している。また、住宅市場の低迷、電力エネルギー危機、消費者信頼感の低下、原料コストの高騰から、外資系企業は次々と中国のGDPは第3四半期に伸び率が縮小すると予想している。

「妻がその事実を受け入れられず離婚することになった」とは、中国のネット上で大流行した言葉である。中国政府が「住宅価格を安定」させるため、10数都市で相次いで「中古住宅指導価格」政策を導入したことで、一部の住宅供給源の価格が半減し、購入したばかりの国民は急いで政府に契約の解約を陳情した。また、この政令は3線都市から徐々に広州、上海、深圳、北京などの1線都市に拡大しており、中国の住宅市場とエネルギー産業が徐々に低下の兆しを見せていることから、外資系銀行は経済成長率を下方修正している。

 

中国は「住宅投機」を締め付けるため、今年から住宅市場を全面的に規制しており、新築住宅、土地、不動産金融のほか、現在は中古住宅市場にまでその触手を伸ばしている。

 

これらの政策はもともと中国の2、3線都市で実施されていたが、最近は大都市にも広がっており、広州、上海、深圳などで次々に導入された後、北京の一等地である海淀にも中古住宅の指導価格が導入された。《関鍵評論網》によると、台湾文山区の不動産業者は政策が導入されている地域ではその程度が目に見えることから、今回は中国共産党の本気度がうかがえると述べている。

 

また、東莞市住房和城郷建設局(以下「東莞住建局」)が発表した「中古住宅の参考取引価格に関する公表メカニズム確立のお知らせ」からは、中古住宅の参考取引価格(指導価格)はオンラインの取引価格をベースに、税務署や金融機関の評価額、周辺の新築住宅の価格などを総合的に考慮し、調査と分析を経て決定されていることがわかる。

 

東莞住建局はさらに第1弾となる218の社区の取引指導価格を公布したが、そのほとんどは表示価格の20~30%オフで、一部は40%オフ、もしくはほぼ半額となった。中国のWEBサイト、不動産プラットフォーム「諸葛找房」のデータによると、指導価格が発表されてから3日後の10月11日、東莞のプラットフォームに価格が表示されていた中古住宅供給源は3万8632軒で、参考価格が公布される前の5万軒以上と比べ、1万軒以上の減少が見られた。そのほか、7000軒以上の住宅供給源が自主的に値下げを行っていた。

 

台湾の不動産業者は、台湾国民のほとんどは中国と台湾の住宅市場を正しく比較していないと述べている。中国の「土地」はすべて国有であり、国民が支払っているのは一定期間の土地使用権である。地方政府はそれにより得られた資金を公務や公共工事などに使用しており、それらは「土地財政」と呼ばれている。

 

このことから、中国の場合、不動産を経済問題としてではなく、政治や政権レベルとして議論する必要がある。同関係者は、「これは自由市場ではない。初めからそうでなかったし、その後(指導価格政策)も違う。多くのメディアが自由市場の観点からしか議論していないのは、とてもおかしい」と述べている。

 

北京当局の強力な主導のもと、取り引きの活発度は目に見えて低下している。《中国不動産報》の報道によると、広州の中古住宅市場は強気の「売り手市場」から「買い手市場」に変化しつつあり、所有者の心理的防衛機制も徐々に崩壊し、住宅供給源の値下げが増え続けている。

 

住宅市場の冷え込みと公共工事の減速、中国の経済成長を下方修正

過去10年あまり、中国政府は不動産開発を奨励し、多くのインフラを迅速に整備してきた。不動産業者は「これは一種のサイクルであり、地価が上がれば政府は高値で売り、それにより得た資金をインフラ整備に投資し、住宅価格がさらに押し上げられる」と述べている。この中国の成長モデルは台湾で模倣することはできない。

 

しかし、このサイクルにも終わりがある。中国経済は住宅市場の戦略で成功をおさめ、鉄鋼、セメント、ガラス原料の繁栄によりGDPの高い成長率を達成したが、それはまた不動産会社の高いレバレッジ、負債、貧富の格差などの問題を生み出している。


米紙《ウォール・ストリート・ジャーナル》は、このような経済モデルのもと、金融機関、管理監督部門、大手民間企業の過度な癒着が深刻な金融問題を引き起こしており、「中国恒大」はその典型的な例であると報道している。報道では中国の不動産会社は土地が国有であることをいいことに銀行への融資を拡大し、銀行は「絶対に倒産しない」と考え、さらに高い割合の資金を不用意に承認したことが、今日における北京当局の苦境を生み出したと指摘している。


過去数か月にわたり、中国では住宅市場の悪化、電力不足による工場の生産能力の制限、さらには完全な閉鎖などが発生しており、世界第2位の経済大国である中国の経済の行く先には暗雲が立ち込めている。野村ホールディングスは中国の今期の経済成長率を8.2%から7.7%に下方修正した。一部の経済学家はさらに悲観的で、5%にまで下方修正している。

 

また、この「監管風暴(管理と監督の嵐)」は、昨年から静かに吹いており、すでにテクノロジー業界、教育業界、不動産業界は大きな衝撃を受けている。9月26日になって、中央巡視工作領導小組の組長である趙楽際氏が巡視工作動員部署会において、25の金融機関の巡視担当者が政治的偏向を深く探っていると述べた。国際社会は、この旋風は止まることはなく、今まさに核心的産業である「金融業」を席巻していると指摘している。


原文作者:莊貿捷
原文責任編集者: 翁世航
原文校閲者: 翁世航
翻訳者: TNL JP編集者
校閱者: TNL JP編集者