注目ポイント
大阪大学在学中からインドでの事業に携わり、卒業後も国際的なスタートアップ支援プログラムに参画するなど、早期からビジネススキルや国際感覚を積極的に磨いてきた武藤素輝さんは、グローバルなビジネス環境では「個性や表現力」が重要だと強調する。国際問題や多様性への感度が高いといわれるZ世代のリアルな意識を聞いた。
大学卒業後、経験の幅を広げるため、就職先の企業に入る前に1年間のギャップイヤーを取り、JETRO(日本貿易機構)と米アクセラレーターTechstarsが主導するスタートアップ支援プログラムの運営に携わりました。
コロナも徐々に落ち着きを見せる中、英語を使って海外の人と働ける機会を探していたところ、職員の大半が台湾出身者であるマツムラコンサルティングに勤務する友人の紹介がきっかけです。日本にいながらリモートで働けるグローバルなビジネス機会であることを知り、参画することを決めました。
Q:アジア各国の人と働く中で感じた日本との違いはありますか?
プロジェクトのチームとしては、僕の他に日本人が1人、他のフルタイムのメンバーは全て海外の人で、台湾2人、韓国1人、シンガポール1人といったメンバー構成でした。
日本の組織で働いた時と比べ明らかに異なっていた点は、いい意味での上下関係のなさ、フラットさです。言語的な性質も大きく起因していると思いますが、プロジェクトに参加した直後から次々に意見を求められ、30代のマネージャー2人に対しても年代や世代の壁を全く感じませんでした。

Techstars プログラム Pitch Day ー 画像元 (e27)
Q:様々な国の人と仕事をする上で直面した課題は?
コロナの影響もあり、プロジェクトに関わる前の約1年半は全く英語を使用しない環境で働いていたため、最初は特に言語の面で苦労しました。
会議の内容が聞き取れたとしても、会話のスピード感に全くついていけない。意見があってもどのタイミングで発言したらいいかもわからない。また意見を求められてもパッと答えを出せない、初めの頃はそんな悲惨な状態でした。ミーティングに参加しているだけでは自分がチームにいる価値はなく、これではダメだと思いすぐに改善に向けて動きました。
まずインプットの面では会議を全て録音し、会話のリズムやタイミングを意識してその日のうちに聞き直しました。頻繁に会議で使用される言葉はピックアップし、場面毎に切り分けてシートに蓄積・反復することで必要な知識を効率よく吸収していきました。
アウトプットの側面では、まず会議が始まる前に自分が伝えたいことをまとめ、それをこちらから会議の冒頭でマネージャーに報告する形式を取り、強制的に自分が発言できる機会を作るようにしました。
一つ一つの会議における準備と振り返りを徹底したことで、プログラムが進むにつれてスピードにも慣れ、自分の言いたい意見もすっと述べられるようになり、チームに価値を発揮できるようになりました。