2022-05-26 政治・国際

Z世代の若者の視点から捉える、日本とアジア諸国における仕事文化の違いとは?

注目ポイント

大阪大学在学中からインドでの事業に携わり、卒業後も国際的なスタートアップ支援プログラムに参画するなど、早期からビジネススキルや国際感覚を積極的に磨いてきた武藤素輝さんは、グローバルなビジネス環境では「個性や表現力」が重要だと強調する。国際問題や多様性への感度が高いといわれるZ世代のリアルな意識を聞いた。

理系世界最難関の学生とインド現地の業者、異なる属性から受けた別軸の衝撃 

Q:なぜ他の国ではなくインドを選択したのでしょうか? またそこで何を経験しましたか?

大学1年生の頃から、大学生向けキャリア支援カフェを展開する企業でインターンをしていました。たまたまその企業がインドでも事業を展開していたことが、インドとの接点を持ったきっかけになります。 

当時インドにあった店舗は、店長も含め全て日本人大学生によって運営されていました。訪れた当初は現地の店長として、2年次にはタイミングにも恵まれインド事業の学生統括を任せていただき、以降は出店交渉や立ち上げ準備を目的として複数回現地を訪れました。

インド海外店舗オープン時の写真

Q:インドの文化に関してどのような違いを感じましたか? 

まず、出店交渉や店舗の立ち上げ期間において、深いレベルで協働した学生が2人います。2人は別々の大学ですが、共にデータサイエンスを専攻しており、普段は超ロジカルな研究世界に身を置く学生です。しかしそんな彼らに共通していたのは、決して頭でっかちにならず、最短最速で課題を解決しようとする柔軟性と行動力でした。プランからアクションまでのスピードがとにかく早い。頭で考えてみてわからないことは直ぐに実行し、あらゆる手段を講じて最速でケリをつけていく。 

店舗を展開しているインド工科大学の入試レベルは世界最難関と言われています。過酷な競争環境を勝ち抜くためのOSとして、多くの学生が自然に体得しているのではないかと思います。そんな彼らの基本姿勢は、自分の仕事スタイルに大きな影響を与えてくれました。

現地で協働したインド工科大学生 

また、資材調達や工事の段取りについて、インド現地の業者の方々とやり取りする機会もありました。そこでは価値観の違いに驚かされました。彼らにとっての業務上の「コミットメント」とは、日本人に置き換えると「ストレッチ目標」くらいの感覚であったことです。そのため、オーダーした期日に何かが完成することや、モノが届くことはまずありません。初めは相当なカルチャーショックを受けましたが、日々生じるこのようなハプニングに慣れていくにつれ、日本的な暗黙の了解や常識は決して当たり前ではないことに気づかされました。課題に直面した際、事態の改善や結果を他人に委ねるのではなく、自分自身の考え方や捉え方をまずは変えてみる。そんな姿勢がこの経験を通して身についたように思います。


米トップレベルのアクセラレーターで得られた経験、実感した他アジア諸国と日本の文化の差

Q:スタートアップ海外展開支援のプログラムに参画したきっかけは何ですか?

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