2022-04-21 経済

台湾有事なら中国が情報網を切断する? インターネット支える海底ケーブル破壊も

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

台湾有事の際、現代の情報網に必要不可欠なインターネットの接続を支える海底ケーブルが、中国に切断される可能性が浮上している。それは台湾だけではなく、そのリスクは日本も同じだという。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今週、「台湾の光海底ケーブルに懸念、中国から守れるか」との見出しで、インターネット接続の脆弱(ぜいじゃく)性が、ウクライナ戦争を機に改めて指摘されたと伝えた。

記事によると、台湾のデータ・音声通信は約95%が海底ケーブルによるもので、そのケーブルは14系統運用されており、台湾沿岸の4地点で陸揚げされている。海底ケーブルは光ファイバーの束で、水まきホース程度の太さだという。

台湾でサイバーセキュリティーとネットドメイン登録を担う政府系組織「台湾網路資訊中心」の黄勝雄氏はWSJに対し、「われわれは極めて脆弱な立場にある」と率直に認めた。

同紙は、米国家安全保障会議(NSC)で中国・台湾・モンゴル地域担当を務めたアイバン・カナパシー氏の話として、台湾有事の際、「中国は上陸作戦を実行する前に制空権、制海権、情報支配を確保するのが軍事的指針だ」と解説した。

カナパシー氏はまた、「ウクライナによるメディアの活用が極めて効果的だったことを目の当たりにした中国は、(台湾侵攻の際に)台湾と世界の通信を遮断すれば作戦が成功する可能性が大幅に高まると判断するだろう」と分析。実際、潜水艦や潜水工作などによる海底ケーブルの切断や、防備が弱いとされる陸揚げ施設への攻撃などでインターネット接続を断ち切る手段を中国が持っていると安全保障専門家は指摘する。

ちなみに、台湾では法律に基づき、ケーブルの陸揚げ施設を警察や沿岸警備隊、軍が警備している。

海底ケーブルの脆弱さは日本も同様だ。海底ケーブルの大半は2か所の陸揚げ施設につながっており、うち一つは東京近郊にあるという。元国家安全保障局次長の兼原信克氏はWSJに、陸揚げ施設では全ての光ファイバーケーブルが2メートル四方の1か所に集められており、爆破されれば全てが失われると警告した。

だが、最悪の場合でも手段が無いわけではない。ロシアによる侵攻で通信インフラが破壊されたウクライナは、イーロン・マスク氏の衛星インターネット接続サービス「スターリンク」の提供を受け、情報戦で反撃することが可能になったというニュースは記憶に新しい。

SNSなどを活用した内外への情報発信が継続してできるようになっただけではなく、ウクライナ軍はスターリンクの使って軍事および民間ドローンを活用し、レーダーに見つかりにくいという特性を生かしてロシア軍への偵察や攻撃に転じた。その結果、軍事力が圧倒的優位とされたロシア軍に対し、大きな戦果を出している。

専門家によると、スターリンクの優れた特徴は、地球の周りの低軌道に打ち上げられた数千基の衛星が世界を網羅し、通信速度は200Mbpsという一般のインターネットと比較しても遜色ない速さでの接続を可能にしたシステムだ。もとは離島や砂漠など、通信インフラの無い地域でインターネット通信ができるように開発されたものだ。

そんなスターリンクが緊急時に活用された最初の例が、今年1月のトンガで発生した海底火山の大噴火だ。噴火により海底ケーブルが切断され、トンガは世界と遮断されたのだ。そこでスターリンクを展開するスペースX社は現地にターミナルを送り、電源が回復された地域でのインターネット通信を可能にした。

ウクライナやトンガを例に、今後は通信手段を海底ケーブルに依存するだけではなく、スターリンクのような衛星インターネットアクセスの確保も有事に備える必要がありそうだ。

 

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