2022-01-21 経済

世界中で歯止めがかからぬオミクロン株の拡大 スペインは感染の「防止」から「許容」へ方針転換

© Photo Credit: AP / TPG Images

今年に入り、1日の新規感染者が過去最高の140万人を記録した米国より人口比換算で上回った欧州の一部の国は、これまでのコロナ対策を一変させ、「感染防止」から「感染許容」への移行を検討している。AP通信が伝えた。

その「感染許容」を提唱しているのがスペインだ。同国では昨年からオミクロン株による感染爆発で、1日の新規感染者が過去最高となる30万人を突破した日もあった。

スペインはパンデミックが始まった2020年当初、政府はただちにロックダウン(都市封鎖)を発令。国民は3か月間ステイホームとなり、そのうち数週間は運動のために外出することさえ許されず、子供たちも外で遊ぶことが禁止された。経済は事実上ストップしたが、政府は厳格なコロナ政策により医療崩壊を回避し、多くの国民の命を守ったと自負した。

それから約2年。スペインは当時とは全く違ったコロナ対策に切り替えようとしている。欧州でも屈指のワクチン接種率を誇りながら、パンデミックにより経済に深刻な影響を受けた。そのことから政府は次の感染拡大を見据え、緊急事態令を発出するのではなく、通常の感染症として対処するための体制を整えているという。

AP通信によると、「感染許容」のアプローチとは“危機モード”から“制御モード”に切り替えることで、新型コロナウイルスよる感染をインフルエンザやはしかと同様に扱う対処措置。感染は起きるものとして受け入れ、重症化リスクの高い人や合併症患者らを集中的に治療するというものだ。

特にオミクロン株の感染では致死率が低下しているだけに、スペインの中道左派政権のサンチェス首相は、欧州連合(EU)に同様の方向転換を促している。AP通信によると、隣国ポルトガルや、やはり新型コロナの感染率がフランスやスペイン、イタリアなどと並んで世界最悪レベルとなった英国は、すでに「感染許容」を検討している。

サンチェス氏は「今後数か月、数年間、われわれはためらうことなく、科学的根拠に基づいて、さまざまな観点からパンデミックの対処法を考える必要がある」と訴えた。

一方、世界保健機関(WHO)は、早急な方向転換を検討するには時期尚早だと警告する。その理由についてWHO は、新型コロナウイルスが「エンデミック」であるとの明確な基準がないことだとしている。

エンデミックとは、インフルエンザのように、ある感染症が一定の季節に、一定の罹患率で繰り返し発生するもので、パンデミックより比較的穏やかに広がり、予測の範囲を超えないものを示す。

米政府のアンソニー・ファウチ首席医療顧問も今週開かれた世界経済フォーラムで、新型コロナウイルスが「社会を混乱させないレベルに落ち着かない限り」、エンデミックとは呼ばないと述べた。

だが、「感染許容」を提唱するスペイン家庭地域医学協会のトレンチ会長はAP通信に、新型コロナをほかの疾病と同様に扱う必要性を強調。「通常の医療扱い」にすることで、コロナ以外の患者への治療が遅れることを避けられるとし、国民は新型コロナ患者の中には死者が出ることも「やむを得ない」と受け入れることが重要だと締めくくった。

オススメ記事:

イスラエルが衝撃研究データ発表 「4回目のワクチン接種をしてもオミクロン感染防げない」

北京五輪開幕直前の中国、「ゼロコロナ」掲げ 少数感染者でも全人民の生活犠牲に都市封鎖

オミクロン株新規感染者が1日140万人の米国ではあらゆる職場が深刻な人手不足

“悪夢のシナリオ”を専門家が懸念 軽症状オミクロンの次に出現する感染力も毒性も強い変異株

「ロシアによる攻撃はいつ起きてもおかしくない」 緊迫増すウクライナ情勢 21日に米露緊急協議