2022-04-19 経済

ロシアが政情不安の西アフリカで情報かく乱 フェイスブック悪用し反民主主義デモを煽る

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

西アフリカの政情不安を扇動する親ロシア、反民主主義の投稿の封じ込めにフェイスブックが悪戦苦闘している。その情報戦の裏で、〝プーチンの料理人〟と呼ばれるロシア人富豪が動かす「ワグネル」という民間軍事会社が暗躍していることが分かってきた。

英紙ガーディアンによると、フェイスブックは近年、アフリカでも利用者が急増し、同大陸の近代化へ大きな影響を与えているという。だが、それと同時に、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズは、意図的なデマの拡散に神経質になっている。特にこの1年半にわたり軍事クーデターが続くサハラ地域では、ディスインフォメーション(情報かく乱)に対する懸念が深刻なのだと専門家は指摘する。

専門家は、西アフリカを中心に各国政府を弱体化させるための親ロシア、反民主主義のプロパガンダを拡散し、クーデターの下準備をするためにフェイスブックが情報戦に悪用されていると説明。これはクレムリンがウクライナなどで仕掛けた「ハイブリッド戦」に類似しているというのだ。

米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」が運営するデジタル犯罪科学研究所「デジタル・フォレンシック・ラボ」(DFL)によると、西アフリカのマリ共和国では、親ロシアのフェイスブックページが打倒民主主義を掲げるデモの参加を呼びかけ、同国のバ・ヌダウ大統領が昨年の政変により失脚した後、治安維持という名目で現地に傭兵を送っているワグネルへの支持を求めている。

ワグネルはロシアのオリガルヒ(新興財閥)で、〝プーチンの料理人〟と呼ばれるプーチン露大統領に親しいエフゲニー・プリゴジン氏が資金援助しているとされる。同社はすでに傭兵らをマリの他にもモザンビークやスーダン、リビア、中央アフリカ共和国などに派兵し、アフリカで日を追うごとに存在感を強めている。

国連の専門家によると、これらの国でワグネルの傭兵らは、政府軍と共に武装勢力と戦う一方、多くの人権侵害行為を繰り返しているという。プリゴジン氏やクレムリンはワグネルのアフリカでの活動について関与していないとしている。

西側政府筋はワグネルについて、「一見何でもないが、将来重大な結果を及ぼす」可能性を指摘し、資源豊富だが政情不安定なアフリカの地域でひそかに影響力を拡大しようと試みるロシアによる「トロイの木馬」だと表現した。

例えばマリの場合、フランス政府は今年初め、約10年にわたったイスラム系武装組織に対する軍事行動に終止符を打ち、数千人規模のフランス軍の撤退を発表した。それと入れ替わるようにワグネルは400~600人の傭兵や軍事指導員、支援スタッフをマリに派兵し、すでに反政府武装組織への攻撃を開始しているようだとガーディアン紙は伝えている。

米人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は今月、約300人の民間人が犠牲になった今年3月のマリ正規軍による軍事作戦にロシア人傭兵が参加したと報告したが、ワグネルの名前には触れていない。

一方、デジタル犯罪科学研究所のDFLは、ロシアによるマリへの介入を後押すると同時に、フランス政府など西側を中傷するメッセージを発信する5つの連帯するフェイスブックのホームページを特定した。

これらのHPは計2万4000件投稿し、14万アカウントによりフォローされていることが分かった。DFLによると、昨年9月には、すでにフランス軍に取って代わり、ワグネルの配備を求めるプロパガンダが始まり、同じ内容の文章が繰り返し投稿されていることも判明した。

DFLはまた、今年1月に西アフリカのブルキナファソで軍事政権が樹立する数か月前から、親ロシアのプロパガンダがフェイスブックで拡散していたことも突き止めた。同国の首都ワガドゥグーでは同25日にクーデターが起きた数時間後、市民らが通りに出て、ロシアをたたえ、旧宗主国のフランスを誹謗して歌い踊る様子が報道された。

ガーディアン紙によると、DFLとフェイスブックは共同で同プラットフォームを悪用した一連のディスインフォマーション活動への監視を継続し、特に選挙に関するものに注視するとしている。

 

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