僕たちは日本の若手建築家のPERSIMMON HILLS architectsを主宰する柿木佑介と廣岡周平です。日本では、木を加工するシステムが発達しており、木造の住宅を初め、様々な新築の建築を作る機会があり、建築設計を仕事にしている方は大勢います。その中でも社会で行われる慣例とされているものや産業に対して、批評的な態度で美しい場所を生み出してく設計者を建築家と呼びます。僕たちの仕事はまだまだ小さいけれど、日々の実践の中で大きな気づきがあります。そういった気づきを皆さんに共有できれば嬉しいです。そもそも設計とは何なのか?っということを一緒に考えましょう。 {"name":"tnljp_a_p2_special","type":"general","size":[[640,480],[640,360],[336,280],[320,480],[300,250],[1,1]],"mapping":[{"screen":[640,0],"list":[[640,480],[640,360],[336,280],[320,480],[300,250],[1,1]]},{"screen":[336,0],"list":[[336,280],[320,480],[300,250],[1,1]]}],"targeting":{"advertising":"0","cabinet":"1472","page_key":"article","page_name":"article","category_key":["life","tourisum"],"category_name":["ライフ","観光"],"feature_key":[],"feature_name":[],"author_key":["hirooka"],"author_name":["廣岡周平"],"tag_key":[105,115,116],"tag_name":["建築","宝性院観音堂","建築家"]}} [fig1] ©PERSIMMON HILLS architects僕たちは何らかの形を生み出す際に、まずは最初に「思い(happening)」があります。それはもやもやしていて、言葉にもなっていないものです。それを「構想や計画(planning)」で、どうやったら形にできるか、を考える手段や手法、見方という「型(type)」を見出して、建築や図面、文章、といった「形(shape)」にする。そういったおもいから形に至るプロセスのことを僕は設計と呼んでいます。その逆で形からその思いを読み取ることが批評なのだと考えます。だからこそ「思い」が世界を変えるのです。このことは、僕たちの設計した「宝性院観音堂」のプロジェクトの中で気がつきました。 {"name":"tnljp_a_p6","type":"general","size":[[640,480],[640,360],[336,280],[320,480],[300,250],[1,1]],"mapping":[{"screen":[640,0],"list":[[640,480],[640,360],[336,280],[320,480],[300,250],[1,1]]},{"screen":[336,0],"list":[[336,280],[300,250],[1,1]]}],"targeting":{"advertising":"0","cabinet":"1472","page_key":"article","page_name":"article","category_key":["life","tourisum"],"category_name":["ライフ","観光"],"feature_key":[],"feature_name":[],"author_key":["hirooka"],"author_name":["廣岡周平"],"tag_key":[105,115,116],"tag_name":["建築","宝性院観音堂","建築家"]}} この宝性院観音堂というのは宝性院という寺院の中にある街道のそばにある木造の平屋の宗教施設です。[fig2]完成してからは宗教的な行事だけでなく、コンサートや結婚式、落語会、マルシェ、映画会、展覧会と宗教色の薄い、公共的な行事が行われています。[fig3][fig2] ©Kai Nakamura[fig3] ©PERSIMMON HILLS architects通常お寺というのは仏像と対面するように開くことが多いのですが側面を大きく開くことで、祈っている方々や過ごしている方々を仏様が見守っているような敷居の低さを感じさせます。[fig4][fig4] ©Kai Nakamura質感のある塀のような収納・霊安室・ギャラリー兼ホワイエ・水回りといった4つのボリュームの上に三角屋根と4枚のいた屋根を載せたような建築です。[fig5][fig5] ©PERSIMMON HILLS architectsホールの架構も樹木を意識した放射状に重なる形式とし、ホールの柱を設けずとも構造的に成立する構造としました。そのことで正面から見た時に集中線的な効果によって仏像の正面性が高まるけれども[fig6]、側面から見たときにトップライトから落ちる光によって収納側の扉が照らされ[fig7]、側面にも重心がある2重の軸性を生み出しました。[fig6] ©Kai Nakamura[fig7] ©Kai Nakamuraそのため、結婚式で使われている時の写真を見ると、トップライトの光の下で、新郎新婦が照らされ、主役として見えるのですが、仏様の象徴性も失わず、両立している状況を生み出しています。[fig8][fig8] ©PERSIMMON HILLS architectsこの場所では様々な地域住民が、自らイベントの企画を持ち込みます。声楽コンサートをやりたい、ギターの演奏をしたい、ここを背景に写真を撮りたい、展示会をしたいなどなど。例えば、光の下で歌う彼女は企画を持ち込んだ一人です。[fig9]とても気持ちよさそうに歌っています。僕たちがこうすれば宗教行事だけでなく、もっと地域の中心となるような場を埋めるのではないか、という思いが形になり、それを見た地域住民が別の欲望を喚起され、また新しい場が生まれる、というサイクルがここでは生まれています。[fig9] クライアント撮影機能主義という言葉があります。これはある特定の役割に特化して使いやすくする、という意味がこめられています。これは方程式を入力すると決まった答えが導かれる機械のようなイメージです。でも「機能」って本当にそんな意味なのでしょうか?「機能」とは「使ってみたくなる/挑んでみたくなる」という意味で、人間の能動的な欲望を喚起するものだと考えています。仏さまの前で歌いたいとか、光の下で歌いたいとか、参道でマルシェをしたいとかこういう、人の欲望の掻き立て方をいろんな場所でいろんな使い方を取り出せるように設計時から考えることでお施主さんと運用について考えてきた結果、街の人にもどんどんと使われるようになりました。形や形式という見えるものが、見えない思いを動かし、その思いによって動かされ、少しずつ見えている世界が変わっていく。そういったサイクルを生み出すことが建築家として役割だと感じています。 オススメ記事:・暴力的な建物の中に快適さを感じるグレーゾーンを作り出す ー 藤本壮介氏の「石巻市複合文化施設」・1日のあらゆるシーンを彩る多彩なシャンパーニュ「マム アイス エクストラ」・神々の里・島根県について語るならば、それは何だ? 旅のコラム:究極の観光マーケティングとは・鰹のタタキはそんなにおいしい? 土佐の酒豪たちの最高の酒のつまみになった理由とは…・巣ごもり需要で成熟したゲームユーザーの実態が浮き彫りに