2021-11-30 経済

日本政府がTSMCのウェハ工場開設を助成  日本の半導体産業復興の第一歩

注目ポイント

各国の半導体開発の進展に対応するため、岸田文雄首相は新たなポスト「経済安全保障担当大臣」を設け、小林鷹之氏を任命した。「日本半導体産業の復興」の第一歩となる台湾半導体最大手TSMCと手を結んだ国内でのウェハ工場建設に向け、今後の緊密な協力体制に世界からの注目が集まっている。

先ごろ、TSMCは機関投資家向け説明会で、日本政府からの協力を得て現地に工場を建設することを発表。岸田首相は小林氏を担当大臣に任命し、今後の半導体産業の発展を促進する。海外からは「日本の国内半導体復興」の重要な一歩だと注目を集めている。

 

小林氏は英経済紙『フィナンシャル・タイムス』に対し、日本はこれまで半導体製造技術の保護に力を入れておらず、世界から後れを取っていたと語り、さらに「今の日本の課題は他国より優れた技術をどのように築き、ひいては国際社会において日本が無くてはならない存在になることだ」と述べています。

 

新設された経済安全保障担当大臣となった小林氏は46歳で、アメリカのハーバードケネディ大学への留学経験もある日本政界の新星。今回、大きな権限を与えられ、ウェハ製造から原材料のレアアースの調達にいたるまで、大小さまざまな案件を取り扱う。TSMCが日本で工場を建設することについて小林大臣は「これはまだ第一歩です。もしここで止まってしまったら、日本の半導体産業の復興は期待できない」と強調した。

 

実際のところ、1年前までは日本の産業界には半導体に関する話題はなかった。しかし、米国のバイデン政権発足にともない、中国への対抗措置として米国の半導体サプライチェーンを強化する関連法案(CHIPS法案)に署名したことで世界中に変化が起こった。

 

過去、政府が過度に産業に介入することは、自由市場国家においては反発を受けていたが、大国である米国が規則を大幅に変更したことを受け、各国は次々と巨額の資金を助成して半導体工場を建設している。その中で今最も注目されているのが日本だ。

 

菅義偉前首相は産業懇談会で、日本でウェハ工場の建設をするにはどのくらいの費用がかかるかを質問したところ「工場を建てるには1.5兆円(新台湾ドル3,600億元)が必要です」と言われ「そんなにかかるのか...」ともらした。

 

新竹サイエンスパークにある半導体企業関係者に本サイトがインタビューしたところ、日本が数千億円を投資して建設するのは「先進製造プロセス工場ではなく、世界から10数年も遅れた20ナノ製造プロセス工場だといいます(現在TSMCはまもなく3ナノを量産)」。

 

また、業界関係者はこれらの費用には技術者、特許、環境保護設備などの支出は含まれていないと強調した。日本がさらに先進的な製造プロセスへと移行するなら、資金をさらに何倍も増額する必要があり、インテルがマイクロチップ工場を作るだけでそのコストは1,000億米ドル(新台湾ドル2.8兆元)になるとも話している。

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