2022-04-15 経済

仏大統領選で親ロシア派ルペン候補勝利なら 西側の対プーチン包囲網に亀裂が入る可能性

© Marine Le Pen

今月24日に決選投票が行われるフランス大統領選挙に、西側諸国は神経を尖らせている。再選を目指すマクロン大統領との対決に臨む極右政党・国民連合(RN)のルペン候補は13日の記者会見で、大統領に就任すればNATO(北大西洋条約機構)の統合軍事機構から離脱する意向を表明したからだ。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、NATO加盟国が一枚岩となってプーチン露大統領に対峙し、民主主義を守るためにウクライナを軍事や医療など多面的に支援してきた。そんな中、主要国の一つであるフランスが、NATOの中核を担う統合軍事機構から離脱すれば、西側諸国に亀裂が入りかねないとの深刻な懸念が生じている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は14日、「ルペン氏躍進に警戒感、西側の対ロ包囲網にヒビも」という見出しで、「ロシアに対する西側諸国の報復措置は、内部から生じた障害に直面している」と報じた。

仏大統領選は今月10日に第1回投票が行われ、トップのマクロン氏に続きルペン氏が2位に躍進。同氏はロシアを孤立させることで侵略抑止を目指す国際的な連携に懐疑的な立場で、13日の会見では、ウクライナ戦争が終結したらNATOとロシアは「戦略的和解」に至るべきだと主張した。

ルペン氏はウクライナ侵攻を非難しているものの、以前から親ロシアの立場を取る。東欧・バルト諸国に加え、NATO未加盟のフィンランドとスウェーデンがロシアへの警戒感を一層強める中、ルペン氏の一連の発言は西側諸国の不安や疑念を深めている。

実はフランスは外交・安保上の自立性を重視し、対米依存の低下を目指したドゴール政権下の1966年、NATOの統合軍事機構を一度離脱している。その後、2009年に当時のサルコジ大統領が復帰を表明し、統合軍事機構に戻った。

そんな中、フランス国内ではルペン氏とロシアのプーチン大統領との交遊を問題視する声が高まっている。ルペン氏は、ロシアとNATOの関係改善は「フランスと欧州の利益」と強調し、正当化することで、批判をかわす思惑があるとみられる。

5年に1度のフランスの大統領選挙は、1965年以降、国民による直接投票により選出され2回投票制で行われる。当選するには過半数以上の票を獲得する必要があり、第1回投票で過半数を占める候補がいない場合は、2週間後に上位2候補による第2回投票が行われる。

今回の第1回投票では米国のバイデン大統領やドイツのショルツ首相、英国のジョンソン首相らと共に対ロシア経済制裁を主導してきたマクロン氏がトップの27・84%で、続くルペン氏は23・15%。両氏の決選投票は前回の大統領選に続き2度目となる。前回はマクロン氏が66・1%でルペン氏の33・9%を大差で破ったが、今回は接戦になるとみられる。

ウクライナ侵攻が始まった時、ロシアからの原油や天然ガスに依存するドイツをはじめ多くの欧州諸国がこれほどまでに団結し、かつてないほどの大規模経済制裁を打ち出すことになるとは、多くの西側指導者らも予想していなかった。

だが、もしルペン候補が勝利し、フランスがNATOの統合軍事機構という指揮系統から抜けた場合、NATOの作戦に与える目先の影響は限られる可能性はあるが、欧州連合(EU)全体に政治的な衝撃が走るだろうと仏国際関係戦略研究所のジャンピエール・モルニー副所長はWSJ紙に語った。

モルニー氏はまた、「欧州は結束している必要があり、一枚岩であるためには、フランスはNATOの軍事指揮下にいなければならない」とし、「ドイツ、イタリア、ポーランドの立場から見れば、それは(NATO指揮系統から外れれば)政治的な大惨事だ」と警戒感を示した。運命の決選投票は10日後だ。

 

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