2022-01-18 経済

トンガ火山大噴火の被害状況いまだ全容不明 国際赤十字は国民の8割が被災との見解示す

© Photo Credit: AP / TPG Images

南太平洋・トンガの火山島で15日発生した大規模噴火。日本列島を含む環太平洋一帯に津波をもたらし、火山灰は3000キロ以上離れたオーストラリアにも達した。現地からはまだ人的被害は報告されていないものの、甚大な環境破壊が懸念される。過去30年で最大とされる今回の海底噴火で、一体何が起きたのか――。

噴火から3日が経過した現在も現地からの情報は断片的で、被害の全容は見えてこない。その主な理由が地理的なものだ。トンガ王国は首都ヌクアロファがある本島・トンガタプ島を中心に170の島からなり、人口は約10万7000人。その75%は本島に集中している。また、隣国のフィジーからは東に約800キロ、南のニュージーランド(NZ)まで2380キロも離れた位置にある。

今回噴火したのは本島から北に約65キロのハアパイ諸島にあるフンガトンガ・フンガハアパイ火山だ。その噴火により国際通信海底ケーブルが切断されたもようで、南太平洋でインターネットサービスを提供するプロバイダー「サザン・クロス・ケーブル・ネットワーク」は17日、復旧までに最大2週間かかるとしている。そのため、現地からの通信が困難になっているのだ。

噴火の凄まじさは、国連衛生センター(UNOSAT)が公開した噴火前後の衛星写真が物語っている。火山島の海面上には285ヘクタールの陸地(東京ドーム約60個分)があったが、現地時間17日午前10時53分(日本時間同6時53分)に撮影された写真では、陸地が吹き飛ばされ、ほぼ全て消滅していた。

噴火後の写真では、ヌクアロファ空港の滑走路周辺に津波による浸水の痕跡が見られ、滑走路上の白線も見えない状態となっている。

そんな中、近隣のオーストラリアとNZは17日、被害を把握するために現地に軍用機を派遣。NZメディアによると、本島では津波により複数の建物が、倒壊や浸水するなど大きな被害に遭っている。また、国際赤十字・赤新月社連盟は、人口の8割近くを占める約8万人が噴火や津波の影響を受けたとの見解を示した。

英BBCは駐トンガ・ニュージーランド大使館員の話として、あたり一面は火山灰が降り積もり、「月面のようだ」と伝えた。同大使館によると、本島西側の首都ヌクアロファ周辺に集中しているリゾートホテルなど、商業施設は津波や火山灰により大きな被害を受けているという。首都から西約21キロにある「ハハタフ・ビーチ・リゾート」の経営者らは、同リゾートが津波により壊滅的被害を受けたとフェイスブックで報告した。

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