2022-04-14 経済

NATO加盟近づくフィンランドに威嚇か ロシア軍が国境にミサイル移動との情報

© Photo Credit: Reuters / 達志影像 Sanna Marin

英紙タイムズ・オブ・ロンドンは11日、フィンランドとスウェーデンが今夏にもNATO(北大西洋条約機構)に加盟する見通しとなったと報じた。すると12日、ロシア軍がフィンランド国境にミサイル車両を移動しているとみられる動画がツイッターに投稿され、新たな懸念が生じている。

米誌「ニューズウィーク」によると、問題の動画は43秒間撮影されたもので、ロシア国旗を付けた沿岸防衛用地対艦ミサイルシステム搭載の車両「K-300P」2台がフィンランド国境に向かって幹線道路を進んでいる様子をとらえている。動画の後半にはフィンランドの首都ヘルシンキの方向を示す案内標識が映っている。

この動画は「OSINTdefender」というツイッターユーザーが投稿したもので、「レニングラード州ヴィボルグ付近のロシア軍が、K-300P沿岸防衛用地対艦ミサイルシステムを含む重火器をフィンランド湾とフィンランド国境方面へ移動し始めたとの未確認情報がある」とメッセージを添えた。ヴィボルグ市はフィンランド国境まで、わずか50キロ、ヘルシンキまでは約250キロの位置にある。この動画は14日の時点で60万回以上再生されている。

もしこの情報が事実なら、NATO加盟に近づいたフィンランドへのプーチン露大統領の威嚇にほかならない。フィンランドはロシアと1300キロにもわたる国境線で接しており、スターリン時代のソ連による侵攻を受けた歴史もある。そのため、スウェーデン同様、フィンランドはロシアを刺激しないよう軍事同盟非加入の立場を貫き、その引き換えに自由主義経済を維持。欧州連合(EU)にも加盟してきた。

ところが今回、ロシアがウクライナ侵攻したことで欧州の安全保障環境は一変し、フィンランドとスウェーデンはNATO加盟へと一気に動いたのだ。

米CNNは13日、「プーチンのいじめが裏目に出て、フィンランドとスウェーデンをNATO加入へと近づけた」との見出しで、NATOが東方に拡大しないよう強硬に求めてきたプーチン氏は結局、ウクライナ侵攻で逆にNATO加盟国を増やしてしまうという皮肉な結果になりそうだと報じた。

CNNによると、フィンランド政府は今週、同国の安全保障政策を報告書にまとめる。これはNATO加盟への重要なステップで、この報告書をもとにフィンランド国会で加盟申請をするべきかを審議。同国のマリン首相は今夏には結論を出すとしている。

また、フィンランドのハーヴィスト外相は11日、隣国スウェーデンも同様のプロセスを進めることが重要だと強調。「両国は情報交換しており、同様の結論に達し、同じ時期に(NATO加入を)実現できることを希望する」と語った。

一方、スウェーデンは今年9月に総選挙を控えている。NATO加盟が争点になるのかと思いきや、主要政党はほとんど加盟に異論はないとされ、スウェーデンのアンデション首相も3月末の同国の公共放送SVTとのインタビューで、NATO加盟の意向を表明した。

同国の政府関係者は、スウェーデンは5月末までに安全保障政策を取りまとめ、それをもとに政府の立場を発表するとCNNに明かした。だが、フィンランドと足並みをそろえるため、発表はより早くなる可能性もあるとしている。

CNNによると、両国の国民もNATO加盟を強く支持していることから、NATO当局や加盟国は全面的に支援している。唯一、新規加入に反対する可能性があるのは加盟国・ハンガリーだという。

ハンガリーは今月3日に総選挙が行われ、政権与党のハンガリー市民同盟(フィデス)・キリスト教民主国民党(KDNP)連合が、2010年以来4回連続となる勝利を収めた。だが、フィデスの党首でもあるオルバーン首相はプーチン氏との関係が近いとされることから、もしハンガリーが反対すれば、新規加入は加盟国による全会一致が必要なことから、フィンランドとスウェーデンのNATO入りは実現しない可能性がある。

ただCNNは、NATO関係者がオルバーン首相に圧力をかけ、懐柔できるだろうとして楽観的な見解を示していると伝えた。


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