2022-01-14 経済

北京五輪開幕直前の中国、「ゼロコロナ」掲げ 少数感染者でも全人民の生活犠牲に都市封鎖

© Reuters / TPG Images

世界がオミクロン株の猛威にさらされる中、来月4日に北京冬季五輪開幕を控える中国は、新型コロナウイルス感染者を徹底的に隔離。クラスターが発生した陝西省西安では昨年12月、全市民1300万人を対象に発動されたロックダウン(都市封鎖)は今も続いている。いまだ「ゼロコロナ」政策を標榜する中国の内情を探った。

ロイター通信によると、西安市に続き北部の天津市でも感染が拡大。12日に同市で報告された有症状の新規感染者は41人で、前日の33人から増加した。また、北東部の大連市でも、天津から到着した人からオミクロン株の感染者が1人確認された。 

中部の河南省安陽市では11日に新たに65人、12日には43人の有症感染者を確認。保健当局は今回の感染拡大が天津から来た学生がきっかけだった可能性があるとの見解を示した。

オミクロン株感染者の総数は不明だが、ほかの国と比較するとほんのわずか。それでも市中感染が判明したことで、中国政府はこれまで以上に神経をとがらせ、厳格な隔離措置をとっている。

実は、天津市と北京市の距離は電車で30分。冬季五輪の大半の種目が行われる河北省とも接しているため、北京市が感染力の強いオミクロン株の流入を阻止し、五輪を正常に開催するのは難しいとの見方が出ているとブルームバーグは報じている。

米紙ニューヨーク・タイムズは、「数百万人もの集団が全てを犠牲に“ゼロコロナ”を執行」との見出しで、特集記事を掲載。わずかな感染者に対しても全人民の生活を制限し、強制措置を徹底する中国政府は、国の方針に忠実な地域住民と批判的な意見を攻撃する国粋主義的ネットユーザーに支えられていると集約した。 

同紙はまた、西安での都市封鎖がいかに中国の政治機能が硬直化し、単純に「ゼロコロナ」を掲げることだけが目的になっていると指摘する。西安では昨年7月までに95%の住民がワクチン接種済で、12月のクラスター発生後でも、今週までに確認された感染者総数は2017人で、死者はゼロだった。

それでもロックダウンは厳格だ。タイムズ紙によると、住民は家から出ることを許されず、建物自体が物理的に封鎖されているものもある。加えて、4万5000人以上が市内の隔離施設に収容されているという。 

また、西安では物流がほぼストップし、インターネットで食料不足を訴える住民も出ている。中には外出禁止令を破り、食料の買い出しに出かけた若者男性が、地域住民らによりビデオカメラの前で見せしめとして反省文を読まされる“粛清”映像も流出。中国紙・新京報は、住民らが後日、「やりすぎた」として男性に謝罪したと報じた。

そんな中、西安の衛生当局は13日、急患の受け入れが遅れる問題があったとして、市内の2病院を3か月間閉鎖処分にしたと発表した。その理由も極めて異常だ。 

中国メディアによると、処分対象となった病院では妊婦がコロナの陰性証明の期限が切れていたため入れず、屋外で待たされ死産。もう一つの病院では狭心症の男性が「中リスク地域」に住んでいたため診察を拒まれ死亡した。

これらのケースはインターネットで瞬く間に拡散され、西安の行政当局への反発が広がっていた。今回の厳しい処分は不満が充満した民衆のための“ガス抜き”とみられる。 

タイムズ紙は西安のロックダウンを「大失敗」と呼び、それでも中国人の多くは「防疫のためなら何でもあり」の姿勢を変えようとしないと締めくくった。