2022-01-13 経済

オミクロン株新規感染者が1日140万人の米国ではあらゆる職場が深刻な人手不足

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連日のように新型コロナウイルスの新規感染者数の記録を更新している米国で今週、1日140万人を超えた。重症化リスクが低いとされるオミクロン株だが、全米の病院は急増する患者の対応と、医療従事者の感染による人手不足で、窮地に追い込まれている。

 

米保健福祉省によると、11日現在で入院中のコロナ患者の数が全米で14万7000人に達し、昨年1月14日に記録したこれまで最高だった14万2315人を上回った。また、米ジョンズ・ホプキンス大の統計によると、1日の新規感染者も10日には過去最高の140万6000人となり、1週間平均では1日75万4000人。うち98・3%がオミクロン株の感染者だった。

 

だが、米ニュース専門放送局CNBCは、入院中のコロナ患者が必ずしもコロナ感染によるものではなく、ほかの病気などで入院した患者に陽性者がいたケースが少なからずあると指摘。例えば、マイアミのフランシス・スワレス市長は、同市の病院ではコロナ患者の約半数がコロナによる症状で入院したのではなく、別の理由で入院した患者がPCR検査をして初めて陽性と判明したものだと説明した。

 

ニューヨーク州保健省もまた、42%のコロナ患者は別の理由で入院しているとの報告書を公表。だが、CNBCはマイアミ市やニューヨーク州のように細かいデータを調査している州や市は少なく、全米レベルで同様のケースがどの程度あるのか把握できていないと伝えた。

 

米バイデン政権で主席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士は先週、これまでのデータから「オミクロン株はデルタ株に比べ症状が軽い」と分析。ただし、「感染者数が多くなればなるほど、その中から一定の割合で重症化する人も増える」とし、予断は許されない状況だと警告した。
 

CNBCの解説者で、かつてFDA(米食品医薬品局)長官を務め、米ファイザー取締役のスコット・ゴットリーブ氏は11日、同局のニュース番組で「現在、米国では感染が激増しているが、最終的には人口の30~40%がオミクロン株に感染すると思う」と推測した。

 

米国の爆発的感染拡大は医療従事者も例外ではなく、ひとたび感染すると隔離が義務付けられているため、医療現場での人手不足が深刻化している。ルイジアナ州保健省のジョセフ・カンター氏は、「現状で一番の問題はスタッフの確保」だと指摘。同州では受け入れ患者の数を制限しなくてはならない原因は病床数ではなく、医療スタッフの不足だと述べた。

 

実際、米保健福祉省によると、全米で約5000ある医療施設のうち、約1200の病院が「重大な人手不足」だとし、100以上が数週間のうちに同様の状況に陥るとしている。

 

だが、米国社会で感染者の増大による従業員の“戦線離脱”は医療現場だけに留まらない。

 

米航空大手・ユナイテッド航空では、全従業員の4%にあたる約3000人がコロナ感染。同社のハブ空港であるニューヨーク郊外のニューアーク空港では、従業員の約3分の1が病欠するという日もあったという。ただ、ワクチン接種した従業員で入院したり、死亡した人はいなかった。
 

米CBSニュースによると、コロナ感染による人手不足がゴミ収集から学校、消防活動にいたるまで深刻な影響を及ぼしている。ニューヨーク市ではゴミ回収が十分にできておらず、地下鉄の3路線は運転士の不足で運行されていないという。

 

「ここ数日間は500万人以上のアメリカ人が自宅で自主隔離することになる」と経済調査コンサルタント会社「キャピタル・エコノミックス」のアンドリュー・ハンター氏は同ニュースに語った。
 

オミクロン株に感染しても無症状や極めて軽症の人がかなりの割合を占める中、隔離期間短縮は緊急の課題になりそうだ。