2022-04-13 経済

陥落間近とされるウクライナ・マリウポリを 死守する〝最後の砦〟アゾフ連隊とは

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

だが、「アゾフ大隊」は14年に勃発したドンバス戦争で、国家警備隊として機能するようになり、アゾフ連隊として国家親衛隊に編入されてからは、すでにビレツキー氏ら一部極右勢力とは無関係の軍事組織になっている。

そんな中、政府系のロシア紙プラウダは11日、「アゾフ連隊司令官がマリウポリから逃走した」との見出しで、デニス・プロコペンコ司令官がマリウポリ包囲網をかいくぐり、連隊を置き去りにして逃亡したとするウクライナ議会のイリア・キエワ元議員の話を報じた。同議員はロシア侵攻を支持したことで先月、ウクライナ議会に議員資格をはく奪されている。

同紙によると、プロコペンコ司令官はヘリコプターでマリウポリを脱出し、現在はキーウに滞在しているというが、記事の真偽は確認されていない。

一方、米誌「ニューズウィーク」はウクライナ軍の発表として、2月24日の侵攻開始から今月11日までの期間、ロシア軍が失った兵力は1万9500人に上り、戦車725台、装甲車1923台、大砲347門、多連装ロケットランチャー111台、軍用機154機、ヘリコプター137機などが破壊されたと伝えた。ロシア側は具体的な数字について言及していないが、「大きな損失を受けた」ことは認めている。

そのため、プーチン氏は軍事作戦を統括する司令官にドボルニコフ将軍を新たに起用した。これまでウクライナ南部軍管区で指揮を取り、2015年には内戦下のシリアで民間人への無差別攻撃を行い、〝シリアの虐殺者〟との異名を持つ人物だ。

ドボルニコフ司令官のもとロシア軍は、ウクライナ東部での大規模な戦闘に向けて車両など部隊を集結させ、態勢の立て直しを図っている。ドンバス地方で予想される両軍の攻防に加え、南東部で孤立しているマリウポリのアゾフ連隊にとっても正念場となる。

 

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