2022-01-31 調査データ

eスポーツは日本でどのように成長できるのであろうか-経済的及び社会的視点からその可能性を探る

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注目ポイント

新型コロナウイルス感染症の大流行により多くの産業が苦境に陥るなか、生活様式の変化が巣ごもり需要を喚起したことにより、ゲーム業界は業績が好調に推移している。日本では家庭用ゲーム機が普及しているため、海外のeスポーツで主流となったPCゲームの発展が少し遅れていたが、東京五輪のプレイベントでのeスポーツ採用等により認知度が高まり、eスポーツ大会の開催数増加や規模の拡大によりプレイヤーやファンが増加しており、今後のeスポーツ市場のさらなる発展が見込まれている。今回の調査では、ゲーム産業のうち、eスポーツに焦点を当て、その関心度や利用実態などの側面から当該市場の現状及び将来の発展を考察する。

1.どれぐらいの人がeスポーツに興味を持っているのか

eスポーツに興味がある人は、全回答者の2割弱しかいない

コロナウィルス大流行で、室内でできる娯楽への需要が高まり、ゲーム業界ではこれまでにないほどの売上向上に反映したが、eスポーツの日本市場への参与にも大きく期待ができるのであろうか。ここでは、日本国民のeスポーツへの興味・関心について、オンラインアンケート(2022年12月1日~3日)の調査結果を報告する。

 

設問1:eスポーツに関心がありますか。

図1:eスポーツへの関心

2022年の「eスポーツへの関心」についての調査によると、eスポーツに関心のあると答えた人は全回答者の17%(やや関心がある12%、非常に関心がある5%)に過ぎなかった。男女別では、男性24%(やや関心がある15%、非常に関心がある9%)、女性10%(やや関心がある9%、非常に関心がある1%)で、男性の方がeスポーツに対して関心が高い結果となった。

過去のゲーム調査でも、男性は女性よりゲーマー傾向があるとされ、eスポーツにおいても性別で好みがはっきり分かれている。

 

2.eスポーツコミュニティの現状は?

コミュニティ利用者は1割弱で、圧倒的人気のあるコミュニティもなし

コミュニティがユーザーを育むと、ユーザーからの利益が生じ、コミュニティが潤うことでプロゲーマーが誕生するため、eスポーツの普及には、コミュニティーの成功がかかっていると言われている。ここでは、eスポーツのコミュニティ利用状況について、オンラインアンケート(2022年12月1日~3日)の調査結果を報告する。

 

設問2:よく利用するeスポーツ関連のコミュニティはどれですか。

図2:よく閲覧するeスポーツのコミュニティ

2022年の「よく閲覧するeスポーツのコミュニティー」についての調査によると、eスポーツのコミュニティー利用者は全体の1割弱(7%)で、圧倒的に人気のあるコミュニティーも存在せず、多種多様なサイトが設立されているのが現状であるとの結果となった。

 

3.eスポーツプレイヤーの実態は?

eスポーツプレイヤーは全体の1割未満、男性が圧倒的に多い

ここでは、日本国民のeスポーツ参与とプレイ時間について、オンラインアンケート(2022年12月1日~3日)の調査結果を報告する。

 

設問3:現在、eスポーツゲームをプレイしていますか。(SF オンライン、スペシャルフォース2、スタークラフト、リーグ・オブ・レジェンドLOL、AVA Battlefield Kingなど)

図3:eスポーツの利用状況

2022年度(12月1日~3日)の調査によると、eスポーツをプレイしている人は全体の6%で、プレイヤー4人のうち3人は男性(男性76%、女性24%)となっている。平均プレイ時間は、平日・休日ともに3時間以下とする人が全体の約8割を占めており、約半数の人が一日平均3時間弱プレイしている。

 

4.eスポーツイベントの参加方式は?

ライブ配信をみたり、ゲーム競技などの観戦が人気

ここでは、過去3個月におけるeスポーツイベント参加の有無と参加方式について、オンラインアンケート(2022年12月1日~3日)の調査結果を報告する。

 

設問4:過去3ヶ月間で、eスポーツゲームに関する以下の活動に参加したことがありますか。

図4:過去3ヵ月で、eスポーツイベントの参加状況

過去3ヵ月で、eスポーツのイベントに参加した人の割合は14%となっており、そのうち、約7割が男性となっている。eスポーツのイベントでは、「自宅でのライブ配信(61%)」と「ゲーム競技や動画の再放送(59%)」の人気が高く、両方ともに、何等かのeスポーツイベントに参加した人のうち、6割の人がこれらの活動を楽しんでいる。


5.競技種目としてのeスポーツへの期待

肯定的な回答は3割程度に過ぎなかった

ここでは、スポーツ競技種目としてのeスポーツへの期待度について、オンラインアンケート(2022年12月1日~3日)の調査結果を報告する。

 

設問5:. eスポーツは将来、スポーツ競技種目となって欲しいと思いますか。

図5:eスポーツの将来的な発展について

2022年度(12月1日~3日)の調査によると、eスポーツが将来、スポーツ競技種目になることに肯定的な人の割合は、全回答者の約3割となっており、性別からみても、全回答者とほぼ同じ程度であった。ゲームプレイヤーに限れば、7-8割が支持しているものの、非ゲームプレイヤーの支持率は3割に届かなかった。

 

6.国民は日本でのeスポーツ普及に意欲的だろうか?

全回答者の4割弱が支持、eスポーツプレイヤーの9割が支持

ここでは、日本におけるeスポーツ普及に対する期待度について、オンラインアンケート(2022年12月1日~3日)の調査結果を報告する。

 

設問6:日本でeスポーツをもっと普及させるべきだと思いますか。

図6:日本でeスポーツを普及させるべきか?

日本でeスポーツをより普及させるべきだと考える人は全体の35%で、ゲームプレイヤーでは85%、非ゲームプレイヤーでは3割程度となっている。また、女性よりも男性の方がやや支持者が多い傾向にある。

 

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eスポーツの起源は、1972年のアメリカとされており、1990年代からPCやファミコン、プレイステーションなどのゲーム機が登場して以来、欧米を中心にeスポーツの機運が高まるも、日本では2018年になって初めて登場したといわれている。これは、日本人のゲーム習慣がスマホゲームと家庭用ゲーム機を中心としていたためである。日本では、コロナウィルスの大流行によりゲーム業界の売上が飛躍的に伸びており、eスポーツへの期待も高まってきてはいるが、日本国民のeスポーツに対する関心度は17%、利用率は6%、イベント参加率は14%といずれも低い。eスポーツは、年齢や性別、場所を問わずプレーできる便利なゲームだが、日本ではeスポーツをゲームと捉えがちで、スポーツ競技としての認識などが足らず、育成や普及が遅れている。海外ではeスポーツとは体を動かすスポーツだけでなく、チェスや囲碁などの頭脳ゲームも含めての「競技」を指す。全世界のeスポーツ競技人口は1億人以上で、プロゲーマーになれば多額の賞金や契約金も入手できる。しかし日本では、スポーツとはサッカーや野球のように体を動かすものであるという認識が強いため、eスポーツがスポーツ競技と認識されにくい。また日本はゲーム大国であるがゆえ、無料基本ゲームとしての期待が大きい。eスポーツは個人の娯楽である一方で、eスポーツは、年齢や性別・国籍・障がい等に関わらず楽しめるだけでなく、複数の人と一緒にプレイするという意味から、経済的な意味を越えて社会学的な意味を帯び、コミュニティとしての生存や娯楽、医療まで枠を広げることができる。2020年に公開された経済産業省の報告[i] によれば、日本のeスポーツ直接市場は 2022 年までに 91 億円に達する見込みである。eスポーツはパラスポーツとしての活用や地域コミュニティの活性化など、コミュニティレベルの娯楽に成り得るため、社会貢献の意味も含めて大きな発展につながると思われ、今後は産学官民による取り組みが期待されている。eスポーツの普及を目的とする今後の課題は、コミュニティレベルでの育成、主に男性ユーザーをターゲットとしたプロモーション、共存社会のイベントとしての認識育成が必要であると言える。

 


[i] 一般社団法人 日本 e スポーツ連合(経済産業省委託)「日本の e スポーツの発展に向けて

~更なる市場成長、社会的意義の観点から~」

出典:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/030486.pdf

 

調査名称:【コロナ禍】クラウドゲームについての実態調査

調査対象者:16 ~ 60 歳の日本国民

調査地域:全国

調査時期:2021 年 12 月 1 日~ 12 月 3 日

サンプル数:1,052人

著者:庄司恵子

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