春は多くの人の生活環境が変わる季節。新たに自転車を購入し、通学などで日常的に使う人も増えるだろう。警察庁のデータによると、2016年度~2020年度5年間の「自転車盗難認知件数」はいずれの年も春から増加傾向になり、7~8月にピークを迎えている。これからの時期は自転車の盗難により注意する必要がありそうだ。
盗まれた自転車の約 7 割は「施錠あり」
au 損害保険(東京・以下、au 損保)は、自転車を盗まれた経験やその状況、自転車の防犯登録に関わることへの認知度などを調べるため、東京都在住で週1回以上自転車を利用している人を対象に、アンケートを実施した。調査は3月4日から7日にかけて、東京都在住で週1回以上自転車を利用している1,200人(車種別にシティサイクル・電動アシスト付き自転車・スポーツサイクルを400人ずつ均等に配置)を対象に、インターネットを通じて行った。
全体の1,200 人のうち、自転車を盗まれた経験がある人は40.9%(491人)。その491 人に「盗まれた自転車の車種」を尋ねたところ「シティサイクル」が最も多く、76.2%(374人)。また、盗まれたのは購入後どれくらいの期間がたつ自転車だったかについては、半数近くの45.8%(225人)が「3年以上」だった。高価な車種や新車ばかりが狙われるわけではないようだ。盗まれたときの状況については、「駐輪場などに長時間駐輪していた」が 35.8%(176人)、「自宅」33.4%(164人)、「買い物中などのわずかな間」27.5%(135人)。出先はもちろん、自宅敷地内の自転車の保管についても注意が必要なことがうかがえる。
また、自転車を盗まれたことがある 491 人に、盗まれた自転車の施錠の有無を尋ねたところ、「施錠していなかった」24.2%(119人)、「付属の鍵のみ施錠していた」66.8%(328人)、「付属の鍵のほか補助鍵で二重に施錠していた」9.0%(44人)だった。警視庁も、自転車の盗難対策として、「わずかな時間でも自転車から離れる時は必ず鍵をかける」「常設のキーのほかに防犯性の高い補助錠を使用する」「防犯性能の高い錠に交換するなど防犯効果を高める」ことを呼び掛けている。
「駐輪時には鍵をかけよう!」 義務化の自治体も
近年、都内では大田区、葛飾区、足立区で自転車の施錠が義務化されている。足立区は2018年1月から、条例で「自転車のカギかけ」=施錠を義務化した。義務化といっても罰則規定は無く、“啓発”が目的。駐輪場で施錠を呼び掛ける音声案内を流したり、ポスターを掲示したりするほか、警察署とも連携。ショッピングセンターの駐輪場や周辺を警察署員が見回り、無施錠の自転車の後輪にワイヤー形状でダイヤル式のカギをかけ、自転車に戻ってきた持ち主に署員が事情を説明、施錠の義務を訴え開錠するという「愛錠ロック大作戦」と名付けた活動も展開してきた。足立区交通対策課自転車係によると、自転車の施錠義務化以降、放置自転車の件数が、1万件超から4000件台に減っているといい、「ほかの要素ももちろんあると思うが、自転車の施錠義務化の効果も大きいと見ている」と手応えを感じているという。