(第6回)
≪CPBの応援団≫
「応援団」と聞くと、筆者の世代なら「青田赤道」をイメージする。長ランを着て、硬派中の硬派が男臭プンプンに活動するあれだ。台湾には、もちろん、そんな応援団はない。台湾プロ野球(CPB)が始まって33年になるが、2010年ごろまでは、おじさんたちがお揃いのTシャツを着て、太鼓をたたいたり、トランペットやブブセラを吹いたりしながら、選手の名前を叫ぶ応援をしていた。統制はあまりとれてなかったが、コアなファンの熱い心は十分伝わった。
9年前に、幅広くファンを獲得するために、チアガール制度がスタートした。試合の応援はもとより、各種イベント、企業とのコラボ企画、テレビ出演など、プロ野球人気を盛り上げるために若くて魅力的なチアガールたちが様々な活動を行ってきた。5チームのチアガールは総計80人(2021年)である。
ウォーミングアップや攻守交替の時も試合中も、チアガールたちは応援チームのベンチ上に立ち、観客席のほうを向いて、ダンスをしながら応援する。時には招待されたおじさんや子供たちもベンチの屋根に立ち、同じTシャツを着て一緒に踊る。選手一人一人に応援歌があり、チアガールと観客が声をそろえて歌う。参考までに中信ブラザーズの陳子豪選手の応援歌をご紹介しよう。日本語訳はあえて書かないが、漢字を見てだいたいの意味を想像して欲しい。応援歌の雰囲気はわかると思う。
♪ 炸裂 陳子豪 ♬
♬ 一擊炸裂 陳子豪 ♪
♩ 炸裂 陳子豪 ♫
♪ 一號重砲 陳子豪 (^^♪
≪魅力いっぱいのチアリーダー≫
CPBのチアガールは、し烈なオーディションを経て選ばれた女性たちである。ユーチューブやTikTokでも活躍、テレビの司会やバラエティーショー出演、歌手デビュー、写真集出版、ドラマや映画に出演したチアガールもいる。
中信ブラザーズのチュンチュンは、人気ランキング1位で、モデルや司会もこなす。楽天モンキーズのYURIは映画に出演したことがある。富邦ガーディアンズの東東(ドンドン)は非常に明るい性格でダンスもプロ並み。味全ドラゴンズのキキは大の野球好きで陽岱鋼のファン、プロバスケットボールリーグのチアガールも務める。統一ライオンズの二コルはミスユニバース台湾代表に選ばれたことがある。
こんな魅力たっぷりのチアガールたちが、最初から最後まで観客の目の前でキュートなダンスをしながら、選手やチームを応援する。ベンチ裏の特等席に座る人の中には、スマホ片手に、試合そっちのけでチアガールを撮影している男性もいる。